生卵の賞味期限をご存知だろうか。サルモネラ菌に汚染されないといったことを条件に、夏場で産卵後から2~3週間以内、冬場で約2ヵ月とされている。生食でも最も美味しいのは採りたてでなはく1週間から10日目だそうだ。それが実際は、シーズンを通して2週間程度と定められ、新鮮なままに処分されている。
食品ロスが凄い。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品が、約720万トンに達するという。これは米の生産高の8割にも相当する。モッタイナイ文化の本家本元が、こと食品に関しては世界一の無駄大国でもあるのだ。
元凶は言うまでもない。賞味期限にある。日付け改竄問題が度々話題になるように日本人は食の安全には特に関心が高い。だが、なにか大きは勘違いしているのではないか。安全を放棄してまで不信と貧困を生み出している。
そもそも賞味期限は食の安全ではない。消費拡大による企業の持続的成長を主目的に考案された経営戦略に過ぎない。棄てさせることで次の消費を促し、回転率の早さが利潤を生む、といった具合だ。経済活動への貢献は絶大にせよ家計への負担を考えれば堪ったものではない。
総務省の統計によると、2017年現在、日本人のエンゲル係数は前年を0.8ポイント上回って25.8%になった。これは1987年以来30年ぶりの高水準である。エンゲル係数は、ゆとりの度合いを示し、高いほど生活水準が低いといわれる。
国税庁調査では日本人の平均年収は422万円だそうだ。ならば飲食への支出は約105万円であり、外食を除いても年間に約20万円は棄てている計算になる。非正規就労なら影響は更に大きい。年収は180万円に満たない。平均より廃棄量は少ないにせよ、エンゲル係数は遥かに高い。食品ロスによる家計圧迫は計り知れない。
日本は食の安全で世界一を自認する。外国産には疑いの目を向ける。だが逆のケースも多々ある。我が国は世界一の農薬大国でもある。諸外国との比較でも面積当たりの使用量は突出して多い。消費者が見た目や害虫を気にするせいもあるだろう。結果として、外来種の侵入を警戒して日本では外国産に厳しく、外国では残留農薬や禁止薬物の使用を理由に日本産が禁輸品目に入ることも少なくない。食の安全とはいえ、果たしてどちらが健全だろうか。
近頃では無農薬野菜専門の販売店が増えている。形状も虫食いもあまり気にしなくなった。ならば賞味期限切れの専門店があっても良いではないか。リサイクルショップが成り立つなら理屈は同じだ。法律の規制があるなら変えれば良い。肉魚はともかく、缶詰め、菓子、嗜好品、デリカッセン等など、何ら問題はない。
賞味期限のない時代は生ゴミといった概念すらなかった。超長寿者の世代はこうした環境の中で育った。賞味期限が出来るや、自然環境に生活水準、ゴミ出し騒動から一部では近隣関係まで破壊してしまっている。四半世紀に渡って下げ続けた所得水準に反して倍増する食品ロス。人口3倍のアメリカよりも多いなんて異常だ。消費期限だけで十分。経済至上主義で国民を貧しくするような賞味期限なんていらない。
◇◇◇◇◇
《《平昌オリンピック》》
(銀と銅に輝く小平奈緒と高木美帆)
14日現在、日本のメダル総数は7個に達し、早くも長野五輪で獲得した10個に迫った。だが、各国共に、メダル総数では評価しない。ランキングは全て金メダルの数で決まる。日本でも同じだったはずだが、いつから“総数”に切り替わったのだろうか。あの「ロンドン夏季五輪」からではなかろうか。
日本でもオリンピックの評価基準は金メダル一辺倒であった。金メダルの数で一喜一憂していた。それが2012年のロンドン大会で一変する。何せ金メダルは目標に大きく届かず7個しか獲れない。アテネ(2004年)16個、北京(2008年)9個、そしてロンドン(2012年)7個と大会毎に下がり続けた。
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※[画像は朝日デジタルより]
過去の大会と比べても少な過ぎる。ロンドン大会の金7個は1964年の東京大会以降ではワースト5に入る。2020年には東京が立候補しているのに、これじゃまずい。やっと盛り上がってきた招致活動にも水を差しかねない。なにか妙案はないだろうか。こうして目眩ましの“メダル総数”に切り替え、合計『38個』を前面に銀座で戦勝パレードを行ったのは言うまでもない。
五輪は出場するだけでも大変な努力を要する。血の滲むような練習だけではない。如何なる競技であれ、それ以上に資金的な壁が立ちはだかる。用具のみならず、遠征にコーチと、莫大な費用を覚悟せねばならない。
小平選手でも例外ではない。スポンサーを探すにも尽く断られ続けたという。熱意に負けて相沢病院の支援がなければ競技生活すら続けられたかどうか。3位まで評価するようになったニッポン。まだ始まったばかりだ。こうした競技にも日が当たるようになれば良いのだが。
食品ロスが凄い。日本では、まだ食べられるのに廃棄される食品が、約720万トンに達するという。これは米の生産高の8割にも相当する。モッタイナイ文化の本家本元が、こと食品に関しては世界一の無駄大国でもあるのだ。
元凶は言うまでもない。賞味期限にある。日付け改竄問題が度々話題になるように日本人は食の安全には特に関心が高い。だが、なにか大きは勘違いしているのではないか。安全を放棄してまで不信と貧困を生み出している。
そもそも賞味期限は食の安全ではない。消費拡大による企業の持続的成長を主目的に考案された経営戦略に過ぎない。棄てさせることで次の消費を促し、回転率の早さが利潤を生む、といった具合だ。経済活動への貢献は絶大にせよ家計への負担を考えれば堪ったものではない。
総務省の統計によると、2017年現在、日本人のエンゲル係数は前年を0.8ポイント上回って25.8%になった。これは1987年以来30年ぶりの高水準である。エンゲル係数は、ゆとりの度合いを示し、高いほど生活水準が低いといわれる。
国税庁調査では日本人の平均年収は422万円だそうだ。ならば飲食への支出は約105万円であり、外食を除いても年間に約20万円は棄てている計算になる。非正規就労なら影響は更に大きい。年収は180万円に満たない。平均より廃棄量は少ないにせよ、エンゲル係数は遥かに高い。食品ロスによる家計圧迫は計り知れない。
日本は食の安全で世界一を自認する。外国産には疑いの目を向ける。だが逆のケースも多々ある。我が国は世界一の農薬大国でもある。諸外国との比較でも面積当たりの使用量は突出して多い。消費者が見た目や害虫を気にするせいもあるだろう。結果として、外来種の侵入を警戒して日本では外国産に厳しく、外国では残留農薬や禁止薬物の使用を理由に日本産が禁輸品目に入ることも少なくない。食の安全とはいえ、果たしてどちらが健全だろうか。
近頃では無農薬野菜専門の販売店が増えている。形状も虫食いもあまり気にしなくなった。ならば賞味期限切れの専門店があっても良いではないか。リサイクルショップが成り立つなら理屈は同じだ。法律の規制があるなら変えれば良い。肉魚はともかく、缶詰め、菓子、嗜好品、デリカッセン等など、何ら問題はない。
賞味期限のない時代は生ゴミといった概念すらなかった。超長寿者の世代はこうした環境の中で育った。賞味期限が出来るや、自然環境に生活水準、ゴミ出し騒動から一部では近隣関係まで破壊してしまっている。四半世紀に渡って下げ続けた所得水準に反して倍増する食品ロス。人口3倍のアメリカよりも多いなんて異常だ。消費期限だけで十分。経済至上主義で国民を貧しくするような賞味期限なんていらない。
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《《平昌オリンピック》》
(銀と銅に輝く小平奈緒と高木美帆)
14日現在、日本のメダル総数は7個に達し、早くも長野五輪で獲得した10個に迫った。だが、各国共に、メダル総数では評価しない。ランキングは全て金メダルの数で決まる。日本でも同じだったはずだが、いつから“総数”に切り替わったのだろうか。あの「ロンドン夏季五輪」からではなかろうか。
日本でもオリンピックの評価基準は金メダル一辺倒であった。金メダルの数で一喜一憂していた。それが2012年のロンドン大会で一変する。何せ金メダルは目標に大きく届かず7個しか獲れない。アテネ(2004年)16個、北京(2008年)9個、そしてロンドン(2012年)7個と大会毎に下がり続けた。
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※[画像は朝日デジタルより]
過去の大会と比べても少な過ぎる。ロンドン大会の金7個は1964年の東京大会以降ではワースト5に入る。2020年には東京が立候補しているのに、これじゃまずい。やっと盛り上がってきた招致活動にも水を差しかねない。なにか妙案はないだろうか。こうして目眩ましの“メダル総数”に切り替え、合計『38個』を前面に銀座で戦勝パレードを行ったのは言うまでもない。
五輪は出場するだけでも大変な努力を要する。血の滲むような練習だけではない。如何なる競技であれ、それ以上に資金的な壁が立ちはだかる。用具のみならず、遠征にコーチと、莫大な費用を覚悟せねばならない。
小平選手でも例外ではない。スポンサーを探すにも尽く断られ続けたという。熱意に負けて相沢病院の支援がなければ競技生活すら続けられたかどうか。3位まで評価するようになったニッポン。まだ始まったばかりだ。こうした競技にも日が当たるようになれば良いのだが。