冬期オリンピックが揺れている。韓国・平昌で開催の第23回大会(2018年02月09日開幕)まで、あと3ヶ月に迫ったが、ここにきて問題山積である。果たして平昌オリンピックは無事に開催できるだろうか。

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(札幌五輪のチケットと歓喜の日の丸飛行隊)

国際オリンピック委員会は5日、国家ぐるみのドーピングが疑われるロシアに対して平昌大会への参加禁止を発表した。個人参加の道は残されたものの、厳しい基準もさることながら、国家の威信もあり出場は制限されるだろう。今後に及ぼす影響(禍根)も計り知れない。

ロシアはスポーツ大国だ。地域性もあり、ウィンタースポーツは伝統的に強い。前回は地元(ソチ)開催もあって、ショートトラックで3個、ボブスレーで2個のほか、クロスカントリー50k、バイアスロン30kリレー、スケルトン、そして、フィギュアスケートのソトニコワなど、合わせて13個の金メダルを獲得している。今回も、メドベージェワやザトキワといった有力な金メダル候補を数多く揃えていた。

ロシアの不参加は主催国の韓国に大きなアドバンテージをもたらす。なにせ、お家芸のSSショートトラックで、ロシアは天敵でもある。ソチでは3個も奪われてしまった。ならば「今度こそ」、になるかと思いかや、そうともいえない。さらなる難関を覚悟せねばならない。

北朝鮮の挑発はエスカレートするばかりだ。(平昌五輪に)参加を促すも明確な回答すらない。こうした中、欧州各国でも「参加見送り」の声が日増しに大きくなってきている。米・朝の関係次第では米国の不参加だって有り得るだろう。日本だって、フィギュア女子にメダルの可能性が高まる、などと言っている場合ではない。決して他人事ではないのだ。

東西冷戦当時、西側諸国はソ連のアフガニスタン進攻を理由に、1980年のモスクワ五輪をボイコットした。日本も例外ではない。多くの有力選手が出場の道を絶たれた。マラソンで優勝候補の一角だった瀬古利彦も、その一人である。

一方、ソ連も対抗手段をとった。米国のグレナダ進攻を不服として、1984年のロサンゼルスオリンピックをボイコットした。これに東側諸国が同調して、平和の祭典は2大会連続しての片肺飛行となった。

歴史は繰り返す。だが今回は東西冷戦の延長ではない。ドーピングに関わる問題とはいえ、2020年には日本での開催が控える。東京大会が予期せぬ事態に巻き込まれる可能性だって否定できまい。

過去の冬期五輪では、1940年の札幌に続いて、1944年のコルチナダンペッツォ(伊)が第二次世界大戦によって中止に追い込まれた。そして、対立軸の拡大は、人類史上最悪の戦乱へと突き進んでいる。平和の祭典が不幸の始りでないことを願いたいものだ。

※写真と本文は関係ありません。