今年のプロ野球はセ・リーグが広島、パ・リーグは日ハムが優勝した。予想外の優勝や奇跡の逆転劇もさることながら、観客動員数が凄い。カープ女子といった後押しのみならず、何処の球場もファンで溢れ、昨年達成した最多観客数を今年は各球団共に更に大きく伸ばしている。

例外は巨人だ。各球団の空前の活況に反して、セ・リーグでは巨人だけが観客動員数を減らしている。パ・リーグでもソフトバンクは減少したが、これは熊本地震による中止や、交通網の遮断による影響であり、それでも最終的には前年並であることから実質的には増加に等しい。

昨年は、巨人だけが12球場で唯一、観客数を減らした。今年は一試合平均でも前年を下回っている。今年はホームでの試合数が昨年より一試合多い。それでも総数では昨年と変わらない。如何に巨人軍の凋落だけが際立つことか。

器の大きさと接待を目的とした年間ボックスの売り上げに支えられているとはいえ、いつまでも続くとは限らない。視聴率は落ち続け関東地区でさえ地上波の中継はない。BSだけが細々と放映し、車載ラジオも聞こえて来るのは、各々の出身地球団が試合をする放送ばかりだ。

元来、東京都民の大多数は、東北や新潟を主とした地方出身者であり、フランチャイズ制の確立が、おらがチームの応援に目覚めさせたのだろうか。聞けば、都内在住の地方出身者では楽天や日ハムの後塵を拝している。神奈川や埼玉は言うに及ばず、長島や高橋の出身地である千葉県でさえロッテファンの方が多い。

10月5日(全日程終了)現在、一試合当たりでみた球団別の観客動員数増加ランキングは次の通りである。

(1)ロッテ△2587人
(2)日ハム△2060人
(3)ヤクルト△2042人
(4)DeNA△1387人
(5)阪神△1017人
(6)楽天△1046人
(7)中日△522人
(8)西武△335人
(9)広島△215人
(10)オリックス△33人
(11)ソフトバンク▼109人
(12)巨人▼546人

総数では300万人を超え全体の一位とはいえ、この先は分からない。前述の通り出身地への愛着から故郷球団への回帰は一段と加速する。ならば首都圏ほど不安定な土地柄はない。営業努力を怠れば更なる凋落を招くということだ。

先日(9月27日)の中日戦は25.397人しか入らなかった。すると巨人は、ビジターである中日サイドの営業努力を嘆いた。なにかおかしい。自らの努力不足を棚上げして不入りの責任を対戦相手に転嫁している。翌28日は30.015人だった。マックスからして約6割の入りである。

かつて、ロッテオリオンズや阪急ブレーブスの本拠地は、いつもガラガラで“ガラスキ”球場とか、観衆“ナシノミヤ”球場などと揶揄されていた。強くても入らないのは今の巨人とて同じではないか。このままなら東京ドームは“空虚”ドームに改めねばなるまい。笑い話ではない。営業努怠慢の付けは限りなく大きい。