気持ち悪~い写真で失礼!
やっと出てきた毛虫(アメリカシロヒトリ)
梅雨らしい天候が続いたせいか、ここ北関東の街路樹にも、やっと毛虫が着き始めた。例年なら5月の下旬であり、明らかに1ヶ月遅い。猛暑や干魃の予兆なのか、或いは“ラニーニャ現象発生の年は暑い”に反して冷夏の前触れなのか、何れにせよ奇っ怪この上ない。
夕刻になると、さらに奇妙なことに気付かされる。草むらからは秋虫の鳴き声が聞こえる。深夜にはコオロギが合唱を始める。夏とはいえまだ6月である。1923年(関東大震災の直前)の夏、永井荷風は断腸亭日乗の中で様々な異変を書き残しているが、ソックリではないか。
1982年7月23日、所用で水戸市の郊外にいたときのことだ。場所に迷い地図を開いていると野良仕事中の年寄りが話しかけてきた。行き先を教えてくれるのかと思いきや、そうではない。「嵐が来っから気い付けろや」だった。
辺りを見渡してもそのような気配はない。しかも曇のち晴れの穏やかな日和だ。どうせボケ老人(失礼!)の戯言だろうと聞き流して少し歩いたその時である。茨城県沖を震源とするM7クラスの大きな地震で震度4の揺れがあった。
帰り道、まだそこにいた年寄りに理由を尋ねたところ、樹木の枝を裏返しにしてこう言った。
「強い雨風なら害虫だって逃げっぺよ」
確かにその通りだ。やや時間は経ったが、茎の部分だけに相当数が張り付いている。元来、害虫だって葉は食うが茎はあまり好まない。
風雨は、葉を揺らし、流し去る。小動物にとっては生命に関わる。長年、農作業に従事した経験から風雨を予見したのだろうが、揺れは嵐だけではない。強い地震の前触れでも同じではないだろうか。
冒頭の写真に戻るが、これは直射日光や小雨を避けて葉の裏側に群れる、ごくありふれた光景であり、いつもと変わらない。もし、晴れや僅かな雨であるのに、葉ではなく茎や枝に群がるなら、急な雷雨や突風への対応かも知れない。
だが、風雨の気配もなく、茎や枝、幹の部分に突然移動したならどうだろう。“揺れる”確率は高いのではないか。弱い地震では有り得ないにせよ、振り落とされるような規模なら、身を守るため、こうした事前行動を取っても不思議ではない。
こうした動きは、せいぜい30分から1時間程度であって、目にすることは少ない。時間が可能なら、是非一度、観察をお願いしたい。
やっと出てきた毛虫(アメリカシロヒトリ)

梅雨らしい天候が続いたせいか、ここ北関東の街路樹にも、やっと毛虫が着き始めた。例年なら5月の下旬であり、明らかに1ヶ月遅い。猛暑や干魃の予兆なのか、或いは“ラニーニャ現象発生の年は暑い”に反して冷夏の前触れなのか、何れにせよ奇っ怪この上ない。
夕刻になると、さらに奇妙なことに気付かされる。草むらからは秋虫の鳴き声が聞こえる。深夜にはコオロギが合唱を始める。夏とはいえまだ6月である。1923年(関東大震災の直前)の夏、永井荷風は断腸亭日乗の中で様々な異変を書き残しているが、ソックリではないか。
1982年7月23日、所用で水戸市の郊外にいたときのことだ。場所に迷い地図を開いていると野良仕事中の年寄りが話しかけてきた。行き先を教えてくれるのかと思いきや、そうではない。「嵐が来っから気い付けろや」だった。
辺りを見渡してもそのような気配はない。しかも曇のち晴れの穏やかな日和だ。どうせボケ老人(失礼!)の戯言だろうと聞き流して少し歩いたその時である。茨城県沖を震源とするM7クラスの大きな地震で震度4の揺れがあった。
帰り道、まだそこにいた年寄りに理由を尋ねたところ、樹木の枝を裏返しにしてこう言った。
「強い雨風なら害虫だって逃げっぺよ」
確かにその通りだ。やや時間は経ったが、茎の部分だけに相当数が張り付いている。元来、害虫だって葉は食うが茎はあまり好まない。
風雨は、葉を揺らし、流し去る。小動物にとっては生命に関わる。長年、農作業に従事した経験から風雨を予見したのだろうが、揺れは嵐だけではない。強い地震の前触れでも同じではないだろうか。
冒頭の写真に戻るが、これは直射日光や小雨を避けて葉の裏側に群れる、ごくありふれた光景であり、いつもと変わらない。もし、晴れや僅かな雨であるのに、葉ではなく茎や枝に群がるなら、急な雷雨や突風への対応かも知れない。
だが、風雨の気配もなく、茎や枝、幹の部分に突然移動したならどうだろう。“揺れる”確率は高いのではないか。弱い地震では有り得ないにせよ、振り落とされるような規模なら、身を守るため、こうした事前行動を取っても不思議ではない。
こうした動きは、せいぜい30分から1時間程度であって、目にすることは少ない。時間が可能なら、是非一度、観察をお願いしたい。