プロ野球の交流戦が始まった。人気のセ、実力のパの通り、これまでもパリーグがセリーグを圧倒している。おそらく今年も、終わってみれば、予想通りになっているのではないか。

交流戦は、かねてよりファンサービスの一環として大リーグで実施され、人気を博していた。日本の場合は、やや主旨が違う。パリーグ側からの要請であり、集客力に欠け経営を圧迫するパリーグ球団を救済する意味合いが強かった。それが、ここにきて一変する。

交流戦は5月31日に開幕し、巨人は京セラドーム大阪でオリックスと、阪神はkoboスタジアム宮城で楽天と対戦した。開幕戦の入場者数は、大阪で25.064人、宮城は20.210人である。

今年、オリックスはホームゲームを26試合消化して一試合当たり25.731人を、楽天は27試合を消化して同じく23.982人を動員していた。それが人気(のはず)の対戦カードでさえパ同士の平均観客数よりも大きく落としている。

土日や祝祭日ではないにせよ、あまりにも情けない。ことに巨人人気にあやかろうとしたパリーグにとっては深刻であろう。集客を期待した相手が、実は“お荷物球団”でしかないのだ。

一方、東京ドームの巨人戦だけは空前の集客を誇る。度重なるスキャンダルの渦中にあっても一向に減らない。あたかも、不正問題がマスコミへの露出度を増し、格好の宣伝材料になったかのようでもある。

理由はネット裏から内野席に陣取る観客に見ることが出来る。TVに写し出される光景は、グレーのスーツ族に席巻され、能面の如く無表情で観戦している。総立ちで応援する他球場とは何か違う。そう、企業所有のボックス席であり、巨人ファンでない招待客が多数を占めるということだ。

最近では首都圏でさえ巨人戦のTV中継がない。だから関東地区の子供は、選手の顔はおろか、名前すら知らない。ならば地方球場なら尚のこと、巨人戦の不入りも当然といったところか。

プロ野球のスキャンダルには、いつも不可解さが付きまとう。不正問題もそうだが、野球賭博は永久追放で、闇カジノやバカラは自主申告の対象にもせず、厳重注意で済まそうとしている節がある。バドミントンが永久追放で、その数倍も使ったであろうプロ野球選手が無罪放免なら、誰だって納得しまい。

ドーピングも然りで、大リーグではスーパースターであっても次から次と摘発され、厳しい処分を下されているのに、プロ野球では発覚すらない。クリーンなのではない。厳正な検査をしていない結果に他ならない。

その昔、某球団のオーナーが「〇〇軍は紳士たれ」「青少年の模範たれ」と言った。高額を投じた闇賭博を不問とし、筋肉増強剤での戦いを容認するなら、それこそ不正だろう。これではファン離れが進んでも致し方ない。ビジターなら尚のことだ。但し、闇賭博が紳士のたしなみで、ドーピングを青少年の模範とするなら話は別だが‥。