こんにちは、本日は古布に用いられている鳥の絵柄をいくつかご紹介したいと思います。言うなれば「鳥尽くし」といったところでしょうか。
まずは江戸縮緬に描かれた燕の親子です。
グラデーションを用い暈しの入った背景とは対照的に正確な描写力で燕が描かれているのがわかります。
正面を向いた燕の表情がどこかとぼけており可愛らしい雰囲気を演出しております。
飛翔する燕は着物の意匠として度々目にしますが、巣作りをしている燕は珍しい絵柄です。
こちらも正確な描写では先程の燕に勝るとも劣らない出来栄えと言えるのではないでしょうか。
色合いから鳥の種類がカワセミとわかります。日本画のモチーフとしても人気があり、武人・宮本武蔵も好んで描いたことで知られております。
水墨画とは違い友禅のカワセミはまさに漢字の「翡翠」の如く色鮮やかに描かれております。
こちらは写実的な描写よりも情感あふれる絵柄で描かれている千鳥です。
こういった水辺の風景と千鳥の群れはよく合います。
千鳥とは水辺に群集する鳥の総称で個別の種類を指す言葉ではありません。
そのため見る人それぞれ思い入れのある千鳥は異なり、郷愁を誘います。私は千葉県我孫子市で育ったため手賀沼が身近でした。私にとっての千鳥はオオバンですかね(誰も知らないマイナー水鳥)
梅と鶯は春の訪れを感じさせる意匠の代表です。
小輪の白梅は宮廷貴族に愛された特別な花、そこで鳴く鶯の姿はいかにも日本人好みの情景だといっても過言ではないでしょう。
最後に冬らしい雪景色と雀の絵柄をご紹介。
鮮やかな赤地が白い雪景色を引き立てます。雀はふっくらとしており、さながら福良雀(膨ら雀)、比較的正確な鳥の描写の中に少しのディフォルメがあり可愛らしさが演出されております。
地面に降りた雀の目とクチバシ、脚は刺繍で描かれており、手間がかけられています。
赤地に福良雀ですので恐らく若い女性向けに仕立てられた着物に用いられた絵柄でしょう。
いかがだったでしょうか。
写実的であったりディフォルメ化されたデザイン性の強いものであったりと見ていて飽きることがありません。
皆様が古布を楽しむために少しでもお役に立てていたら光栄です。
お読み下さりありがとうございました。
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