我が家は旧家ではないので、先祖から引き継ぐ家宝などなく、まあ一般的な家庭だ。

しかし、数年前亡くなったかみさん方のおじさんの家を整理したとき、数々の骨董を引き継いだ。

おじさんは、公立高校の教師をやっていた程度の収入なので、収集品は高額なものはないが

早くから作家に目をつけ、後に人間国宝になった・・・なんて感じの陶工もいて、目利きであったことは確かな様だ。

 

しかし絵画にしろ陶器にしろ、購入時にそれなりの金額だったからと言って、それがそのまま価値として扱われるという訳ではなく

好きで買ったものなら、価値は二の次だが、それを資産の1つとして購入する場合は注意が必要だ。

 

数々の品を、色々と評価してもらった時、現実とのギャップに驚いてしまった。

生前はこれは・・・だけの価値があると、自慢げに話をしていたが、

実際は、購入時に値段の10倍ぐらいの価格設定されているのが現実な様で、スタートから価格がアップしているので

これらの購入で後々儲けようと考えるのはとても難しい。

同じお金を叩くなら、「金」を買って置いた方が資産として計算しやすい。

絵を買うなら高くでも有名人もの、その時の流行もあるが、基本作家の名前が重要の様だ。

 

そんなことで、私のささやかな趣味の範囲では鎌倉や京都に行った際、骨董屋を覗いては、出せる範囲のレベルで色々と買っていたが

最近では自分が本当に惹かれるもの以外は、買わない・・・・というか骨董屋もあまり覗かなくなった。

 

しかし昨日は、かみさんが古着物を見たいと言うので、骨董屋に一緒に入ってみるとちょっとしたスペースに小品が並んでいた。

柄的に大皿の古伊万里など気になるものもあったが、大皿なんぞ我が家では使う予定も無い上、飾るところもない

収納に場所を取るのでパスしたが、細々した小品をみていると気になるものがあった。

 

菊水家紋・・・湊川神社 の真鍮製の小さな容器だ。

大きな傷もなく、経年による変色が、黒光りする感じ、数年のレベルではない・・・

なんだろうと手に取ると、裏には湊川神社 祝詞殿透塀寄進 塩田富蔵とある

湊川神社にはこの春参拝し、神社復興の功労者として塩田氏の名前を知っていた。

付属の桐箱には

世久水香合と書いてある。

容器の中には香木が入っていて、香りは多分白檀だ。

香合とは、香をしまう容器だ。

ちょっと惹かれるものがあり、値段を聞いてみるとなんと1500円だった。

香木を買うだけでもそれなりの値段がするし、作りの良い真鍮製ってことで、即購入してしまった。

迷いは全くなかった。

 

真鍮なので家に戻ったらピカールでピカピカに磨くことも考えたが

ここまでいい感じで色がついているので、このまま使うことにした。

 

湊川神社と言えば

楠木正成だ、

今日は足利尊氏のゆかりの長寿寺の参拝、昼食は鎌倉の楠の木を考えていたの、ちょっと縁がある感じがした。