大序曲とも言われる曲ですね。
この曲は、やはりクライマックス付近でぶっ放される大砲の印象が強くて、どうもこの部分ばかり注目されますが・・・、もう少しこの曲全体を聴いてみると、少々暗いイメージですが導入部もいい曲だと思います。
そこで導入部分に注目して面白い演奏と言えば、やはり60年代のカラヤン ベルリンフィルの演奏ですね。
導入部分に合唱が挿入され、ドン・コサック合奏団が歌っています。
比較的暗いこの曲の雰囲気に彼らの歌声がピッタリきます。
カラヤンお得意のウイーン学友協会を使わないところは、単なるスケジュール上の問題ではなく、曲に一致した合唱団を選んだからでしょうね。
厳格な合唱が急に終わると、大砲ぶっぱなしの曲へ移って行く、背筋がゾクゾクするぐらい旨い指揮ですね。録音グレードは少々落ちますが、フィナーレも中々の迫力です。

カラヤンの60年代は、イエスキリスト教会で録音されているためか、フィルハーモニーと違う響きがあります。シベリウスも同様に物凄い暗い重い感じの演奏が多く、ある意味ドイツのオーケストラの音であり、良い雰囲気が出ています。
この時期のチャイコフスキーの録音は、どうも急いでレコードを作った感じで、交響曲3曲は演奏に粗さが目立ちますが、この1812年や、白鳥の湖、眠れる森の美女などは大変素晴らしい演奏をしています。ウイーンフィルとの演奏を比較をしても面白いですね。
カラヤンの小品に対する演奏姿勢の真摯さを感じますね。