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カラヤンの演奏で開眼したこの曲ですが、最近貴重な演奏を聴きました。

フリッチャイ指揮 ベルリンRIAS交響楽団 ピアノ:コルトー 1951年ベルリンでのライブ演奏です。
コルトーと言えば、20世紀を代表する大演奏家の1人です。
彼のソナタは色々聴いているのですが、協奏曲を聴くのは初めてなんです。

第1楽章、初めから驚きます。違う曲かと錯覚するぐらい・・。
まるで大柄の偏屈な老人がゆっくり杖を突いて、車から降りる感じとでもいいましょうか、周りの目を気にせずマイペースで堂々としている感じです。
私が思うこの曲のイメージとは全然違う感じです。でも不思議と引き込まれてしまうんですね。

終始ゆっくりと、協奏曲と言うよりピアノソナタ?? オケは伴奏って思えてきます。
この御大と合せる指揮者も大変だったと思います。

コルトーは若い頃から、ホロヴィッツとは違いテクニックを見せつけるピアニストではないので、この演奏でも・・・歳の関係もありますがテクニック云々の演奏ではありませんね。
所々ミスタッチが目立ちますが、それが全体の曲の中でいい感じになっているのが不思議な印象を受けます。
時折物凄く美しい旋律を奏でたりして、さすがコルトー・・・としかいえません。

2楽章も彼が好きに楽しんで弾いています。
ある意味ここはソナタっぽくても問題ない曲なので、安心して聴けますね。

そして3楽章、2楽章の終わりから連続して演奏されますが、ここも物凄いアクセントです。
いきなり曲にブレーキがかかります。
相変わらずコルトーの個性的なテンポが持続され、曲が終わります。拍手は入っていません。

なんとも全曲を聴き終わると・・・・唸ってしまう様な演奏です。
でも、また聴いてみようって思うってしまうのが不思議・・・これがコルトーのオーラなのでしょうか??


この演奏では、フリッチャイが指揮しています。
彼は1914年生まれですからカラヤンよりちょっと若い世代の指揮者ですね。
しかし早くに亡くなっていますので幻の指揮者と言われています。

このディスクには、フリッチャイのインタビューとチャイコフスキーの交響曲第5番がカップリングされています。お得なディスクですね。
チャイコの方は、1957年ベルリン放送交響楽団とのライブ演奏です。
フリッチャイの貴重な遺産の1つですね。

テンポに変化を付けた1楽章、意外とあっさりの2楽章、そして早めの最終楽章と、はっきり言えば私の好みの解釈ではないですが、物凄くエネルギッシュな演奏ではあります。
でも残念ながら私は、彼の解釈に違和感を覚えるのであまり聴いていないですね。

私は、やっぱりチャイコの5番はカラヤンなんです。シューマンもですが・・・