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音楽史上における指揮法の確立は確か19世紀に始まったので、歴史的にはまだ浅いです。
作曲家で言えばワーグナーやブラームスぐらいの方々は指揮台に立って演奏会をしたと本には書いてあります。
そこで職業として指揮者となったのは、多分ハンス・フォン・ビューローが始めてだと思いますが、その次の時代、指揮法と言うものを確立したのが、ニキシュ(ハンス・リヒターもいますが残念ながらディスクが残っていない)ですね。ニキシュは、1855年ハンガリーに生まれていますが、トスカニーニより10年ちょい先輩になり、トスカニーニが賞賛した数少ない指揮者の1人です。

また彼はベルリンフィルの2代目の音楽監督として有名ですね。

さてこの演奏、まさに録音の歴史を語る意味でも重要なものです。
ベートーベン 交響曲第5番(録音1913年秋)
リスト ハンガリー狂詩曲第1番(録音1920年)
ベルリオーズ ローマの謝肉祭(録音1920年)

運命の演奏は、アコースティックと呼ばれる、あのエジソンが発明したラッパで集音するものなので、周波数帯域の少ない人の声を録音するのがやっとで、オーケストラについては大変な挑戦でした。

この演奏で実施したかは不明ですが、この時代2管編成のフルオーケストラの録音は無理な話で、バイオリンは6人、コントラバスは無理なのでチューバが代奏、ホルンは音が大きいので、物凄く離れた位置で指揮者と逆に向いて鏡をみながら演奏し、録音したといわれています。

トスカニーニが指摘している通り、この演奏が本来のニキシュのスタイルではないかもしれませんが、素晴らしい演奏です。
他に二曲は、運命の7年後の録音ですが、聞きやすくなっています。加速的に録音技術が進歩したんでしょうね。

私がこの演奏を始めて聞いたのは、マイナーレーベルを専門に扱っているレコード店だったけど、当時LPだったので、物凄い音だった。ノイズが酷かった。

CDに復刻され、あまり期待しないで買ったのですが、驚きましたね。見事な復刻技術です。若干録音が古いかなあ・・・・程度で、十分満足できるものです。

ニキシュはこの他に、フィガロの結婚序曲、エグモント、オベロンそしてハンガリー狂詩曲第1番も録音しているらしいので、是非聴いてみたいものです。