イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

確か大学生の頃、早朝番組の1コーナで辛口グルメ評論の山本益博氏が、自分の好きなものを紹介する面白い企画があった。基本的には食べ物の紹介だったと記憶するが、音楽の話題もあった。
そこで、発見されたばかりのトスカニーニの映像集を紹介された時には釘付けになった。
トスカニーニの映像と言えば、「運命の力」「諸国民の賛歌」ぐらいしか一般には知られていなかった。
少なくても私はそれしか知らなかった。

発見された映像は、一連のTVコンサートを収録したもので、当時10枚組のLDで発売された。80歳を超える
トスカニーニ指揮ぶりが、とにかく凄いの一言だ。

歳を全く感じさせない指揮姿は、まるでチェロを弾いている様なポーズもあったり・・・・全体的に物凄くシンプルに振っているのが良く判る。
その当時LDは学生の身には大変高価だったので、発売と同時に「ローマの松」だけは買った。
ベートーベンの「運命」がカップリングされ、大変お得な内容だった。

演奏後のトスカニーニの仕草がとても興味深い。殆どの指揮者は、観客の歓声に応える時オーケストラの中心に立って、「俺が振ったんだ・・・・」って感じで一番目立つのが普通だが、トスカニーニの場合は違う。彼は、挨拶らしき軽いお辞儀はするものの、団員に混じりうつむき加減、何かつぶやいている様な感じで立ち、すぐに舞台裏に下がってしまう。目立つのは作曲家であって、演奏家ましてや指揮者ではない・・・と言う彼の謙虚な姿勢が確認できる。

さて問題の演奏だがとても引き締まった名演だ。まさにトスカニーニのレスピーギ!!

TVコンサートと題して発売されているけど、収録された音は、多分マスターライブ音源ではなく、他の録音などもから繋ぎこまれている可能性があり、本当の生演奏ではなかも知れない様だ(この点は山本氏の番組でも制作課程の逸話が紹介されていたが、この演奏がそうであるかは不明)。
このディスクは、あくまでトスカニーニの指揮姿を見ることを目的として編集されていると思った方がいいでしょうね。

しかし、とても貴重な記録であることは確かで、トスカニーニの偉大な遺産であることには間違いない。