勝敗の正体は、スコアボードの外にあった



娘が卓球をやっている。


最近、どうも伸び悩んでいるように感じ、家族でゆっくり話し合う時間を持った。


技術的な差があるようには、正直あまり見えない。

フォームも悪くない。

打球の質も、同世代と比べて大きく劣っているわけではない。


それでも、試合では負けてしまう。


――なぜなのか。


考えていく中で、ひとつの答えに辿り着いた。

それは、メンタルだった。


娘の試合を振り返ると、はっきりとした傾向がある。

得点で優位に立つと、そこから巻き返されて負けてしまうことが多い。


なぜ、そうなるのか。


その正体は、とてもシンプルだった。

スコアボードに表示される「数字」そのものが、メンタルに影響している。


「あと少しで勝てる」

「この1点を取れば……」


人はその瞬間、どうしても心が浮つく。

それは卓球に限らず、あらゆるスポーツ、いや、人生のあらゆる場面でも同じだ。


では、一流のスポーツ選手に共通していることは何だろうか。


考え続けて行き着いた答えは、こうだった。


目の前で起きた事実を、淡々と分析し、淡々と修正する力。


一流の選手は、点数や結果を見ていない。

勝っているか、負けているかに、心を奪われない。


見ているのは、ただ一つ。

「今、なぜこのミスが起きたのか」


どんな一流選手でも、ミスは必ずする。

しかし、そのミスを感情で処理しない。


・なぜネットにかかったのか

・なぜ相手に読まれたのか

・なぜタイミングが合わなかったのか


その「なぜ」を突き詰め、次の1本で修正する。


そうやって試合を、まるで作業のように積み重ねていく。

だから、勝負所でもブレない。


結果は、後からついてくる。


目の前の試合には負けることがあっても、

長い目で見れば、確実に勝ち星を積み重ねていく。


そんな話を、娘に静かに伝えた。


勝つことよりも、

正しく考え、正しく修正できたかどうか。


もしそれができていれば、

その試合は、もう「負け」ではない。


結果に、感情を乗せてはいけない。