韓国経済は表面的には解らない。町の喧騒には変わりがないように見える。到着ロビーでの換算レートは1円ー13.9ウオンになっている。急いで余分に交換したが、本来は無意味だと思う。
ソウル繁華街で、スポーツシャツを露店で売っている、見れば、品揃えもないし、隅っこに僅かに「5000ウオン」と書いたダンボールの端くれが見える。誰が売っているのかさえ解らなかったのは、客引きをしていないからなのだが、何となく、給与代わりに渡された品物を売っているのではないかとさえ思った。
一緒に来たスポーツ好きにもと思って2枚買った。日本語も英語も通じないのでたどたどしいハングルで話した。どうも3枚10000ウオンにすると言っているようであるが、5000ウオンは350円程度なので全く商売に慣れていない売り手から無用に値切る気にもならない。こうした光景が増えてくるのだろうと思った。
商談会で、通訳の女性がやって来た。あまり日本語が上手ではない。聞くと、名門語学大学の4年生だと言う、就職がこの時期になっても決まっていない。不審に思って聞き質すとロシア語専攻で、ロシア語・ウクライナ語を学んでいるがロシア語の仕事はなかなかないそうである。日本語を覚えて、就職活動をしているがやはり仕事は見つかっていないそうである。多くの仲間の学生もそんな状況だと言っていた。
日本語に訳せないとロシア語になってしまうので機械メーカの営業も「Да」(ハイ)「Нет」(イイエ)と聞き慣れない言葉が出てくるので勝手が違ってしまう。色々とはぐらかすには良いのかも知れないが、この通訳とのハングル・日本語・ロシア語交じりの会話には戸惑うばかりなのある。
Да!Да!Да!(ハイ、ハイ、ハイ)とロシア語特有の相打ちで進むと、ますます混乱の度合いが深まる。メーカ側に日本語が解る営業が多いので「何処の国の人か」と聞いてくる。商談客の合間にロシア語を覚えた経緯を話すとソビエト時代から冷戦の話になってくる。彼女が歴史書の中で僅かに見聞きした世界の証人を目の前にするとその驚きも格別だったようだ。
до свиданая(さようなら)、別れの言葉なのである。

韓国とロシアとの貿易は、希少金属や石油と重要な資源があって、一時ロシア語も重要視されていたのですが、ここに来て輸入も進められない状態なのでしょう。韓国経済の深刻さが垣間見えた思いがします。

Sowelu「パールカラーにゆれて」
MOMOE TRIBUTE