ポンプ庫に到着し、先行で町役役場で行われる壮行会に向かう選手達を見送る。
テンション上がりすぎて、分団員が集合するより早く集合してしまったOB連は、
「ほな現地で」
と言い残し早々に出発する。
途中、ラオウと合流し、
四半世紀にわたる操法との交わりを思い返しながら高速を飛ばす。
到着すると自動車ポンプ車輌が待機指定位置に並べられており、会場の準備に忙しく動き回る職員や担当課の姿が見える。
YMMT課長は消防主任が不在の中で全権を任されることになった。
かつてNew-townが自動車ポンプでこの地を踏んだことをよく知る人物だけに、操法の段取りは慣れたものであるが、人員配分が足りなかったか、タフな課長には似合わない疲労の顔が既に伺える。
程なく本隊が現地に到着し、syo分団は事前の打ち合わせ通りに手際よく配置についていった。
検尺が始まるアナウンスが鳴った。
屋内訓練場に向かう途中にTRI分団の面々に会い、調子をうかがう。
1番員の顔には緊張は見られない。これまでいい訓練を積んできたのだろう。自信のある表情に頼もしさを感じる。
初グリーンラバーを大いに楽しんでもらいたい。
検尺会場を見れば操法の組み立てがわかる。
どんなホース設定にしているかで、タイム重視か節度重視か、送水の送り方まで見えてくる。
早朝に出発したのはここを押さえるためでもある。
各出場隊とも長さをギリギリに設定してきているだけに、シビアな長さになっているのだろう。
いつもよりホースを引っ張り、合わせ直している隊が多いようだ。
いや、まて、
やはりそうか!
思わず声が大きくなってしまったが、
これもまた操法ではありがちなことだ、と冷静さを取り戻す。
波瀾含みは天候だけではなさそうだと、気を引き締め直す。
来賓多数のなか、N-harima操法大会の開会が宣言された。
大会会長SKMT団長はとてもダンディでユーモア溢れる方である。
開会挨拶も堅苦しくなく、気さくな雰囲気。
内容を聞くかぎり、前日寝られなかった者同士らしい
244議員からはこの地区の操法は全国でもトッブクラスと祝辞がある。
少々長い開会式のあいだ、地面の一部が乾いてくるほど雨は小休止していたが、操法競技開始の予定時刻がアナウンスされるころには、パラパラと弱い雨が降り始めた。
より緑色濃く雨に濡れる路面には、
もう使われなくなった待機線と集合線がかすれて、物悲しく見える。
反面、ペイントし直された伝令停止線は、輪郭をあらわにし、修正部は周辺の色に溶け込み、仕掛けられた罠に近いものがある。
私にとってその場所は、グリーンラバー上において、最も忌々しき記憶とともにある。
18年前、
あの時も、
始まりは今にも雨が降り出しそうな曇り空だった。
願わくば今日出場する選手達の身に、
危険がおよばないことを祈る。
さあ、魔物とやらに、
久しぶりに逢いにいくとしよう。