「じゅーんきッ!」
「うぉ!?」
講義も終わり、最寄り駅への移動中。
訳の分からん広告メールを削除しようと携帯を除き込んだまま歩いていたため、不意討ちには完全に無防備だった俺は、かけられた力の通りに軽く前のめりになった。
「うっへーおま…それはオーバーリアクション過ぎ」
ムスッと振り返った俺に悪びれる風もなく、そいつはケラケラと笑って見せた。
サラサラの黒い細髪、生まれつきの白い肌。
顔立ちも割りと整っていて、分類はきれい系に入ると思う。
ただ一つ難点があるなら、背がそんなに高くないことくらいだろう。
「…つか、お前が普通に声かければいいだろが」
「何を言うか!世の中どんな危険があるか分からんのだよ淳希君?そしてその危険がいつ来ても対応できるように、こうして俺が訓練をだな…」
「正直お前のそれのがよっぽど危ねーよ」
慣れ親しんだこのやり取りに軽く苦笑いする俺に、斗真はにっと笑って見せた。
『夏目斗真』
ルームシェアと言う名目で俺の部屋に転がり込んできた同居人。
俺が、密かに思いを寄せる人。
「淳希、もう帰ンの?」
俺の横を歩きながら斗真が問う。
「あぁ。DVD借りてこうとは思ってるけど。一緒に行く?」
「あー…」
しかし斗真は携帯の時計を確認し、片手をまっすぐに据えて謝罪の構えをしてみせた。
「ワリ、これからバイトなんだよね……」
斗真はいつも、バイトをいくつも掛け持ちして、アホみたいに働きまくっている。
理由はよく知らない。
斗真が詳しく話さないから無理に聞かないが、どうやら家庭の事情で学費と生活費はすべて自分で稼がなきゃいけないらしい。
ルームシェアを始めて、大なり小なり、こうして俺の誘いがバイトに阻まれるのはよくあることで。
この程度、もう慣れた。
「分かった。晩飯いる?なんか作っとこうか」
「あーうん、助かる!」
こうやっていつも、俺のバイトが休みの時は斗真の分も用意するのがお決まりのパターンになっていた。
俺も別に料理をするのは嫌いじゃないし、量だって一人分増えるくらいならたいして変わらないし。
「あ、そうだ」
駅の改札を通り抜け、別々のホームに足を向け別れる間際。
「な、DVDってなに借りんの?」
「え?あー…特に決めてないけど?」
あまり考えていなかったので、ぼんやりといくつかのタイトルを思い浮かべながら答えた。
しかし俺のその様子をどう捉えたのか、斗真は意地悪くニヤニヤと笑った。
「とか言って、AVでも借りて俺がいない間にこっそり見るつもりだったんじゃねーの?」
「そんなんじゃねーよ、お前じゃあるまいし」
俺だってちげーよ!と、斗真は俺の反撃に大袈裟に笑って見せた。
「じゃさ、待っててよ。俺も見る。今日あがンの早いから」
本当にAVじゃないか一緒にチェックしてやる、と笑いながら、斗真はホームに走っていった。
「ったく…」
斗真の後ろ姿が階段に消えるまで見送り、俺もホームに足を向けた。
「何…借りてくかな」
揺れる電車の中で、俺は家についてからのことを考えてワクワクしていた。
「うぉ!?」
講義も終わり、最寄り駅への移動中。
訳の分からん広告メールを削除しようと携帯を除き込んだまま歩いていたため、不意討ちには完全に無防備だった俺は、かけられた力の通りに軽く前のめりになった。
「うっへーおま…それはオーバーリアクション過ぎ」
ムスッと振り返った俺に悪びれる風もなく、そいつはケラケラと笑って見せた。
サラサラの黒い細髪、生まれつきの白い肌。
顔立ちも割りと整っていて、分類はきれい系に入ると思う。
ただ一つ難点があるなら、背がそんなに高くないことくらいだろう。
「…つか、お前が普通に声かければいいだろが」
「何を言うか!世の中どんな危険があるか分からんのだよ淳希君?そしてその危険がいつ来ても対応できるように、こうして俺が訓練をだな…」
「正直お前のそれのがよっぽど危ねーよ」
慣れ親しんだこのやり取りに軽く苦笑いする俺に、斗真はにっと笑って見せた。
『夏目斗真』
ルームシェアと言う名目で俺の部屋に転がり込んできた同居人。
俺が、密かに思いを寄せる人。
「淳希、もう帰ンの?」
俺の横を歩きながら斗真が問う。
「あぁ。DVD借りてこうとは思ってるけど。一緒に行く?」
「あー…」
しかし斗真は携帯の時計を確認し、片手をまっすぐに据えて謝罪の構えをしてみせた。
「ワリ、これからバイトなんだよね……」
斗真はいつも、バイトをいくつも掛け持ちして、アホみたいに働きまくっている。
理由はよく知らない。
斗真が詳しく話さないから無理に聞かないが、どうやら家庭の事情で学費と生活費はすべて自分で稼がなきゃいけないらしい。
ルームシェアを始めて、大なり小なり、こうして俺の誘いがバイトに阻まれるのはよくあることで。
この程度、もう慣れた。
「分かった。晩飯いる?なんか作っとこうか」
「あーうん、助かる!」
こうやっていつも、俺のバイトが休みの時は斗真の分も用意するのがお決まりのパターンになっていた。
俺も別に料理をするのは嫌いじゃないし、量だって一人分増えるくらいならたいして変わらないし。
「あ、そうだ」
駅の改札を通り抜け、別々のホームに足を向け別れる間際。
「な、DVDってなに借りんの?」
「え?あー…特に決めてないけど?」
あまり考えていなかったので、ぼんやりといくつかのタイトルを思い浮かべながら答えた。
しかし俺のその様子をどう捉えたのか、斗真は意地悪くニヤニヤと笑った。
「とか言って、AVでも借りて俺がいない間にこっそり見るつもりだったんじゃねーの?」
「そんなんじゃねーよ、お前じゃあるまいし」
俺だってちげーよ!と、斗真は俺の反撃に大袈裟に笑って見せた。
「じゃさ、待っててよ。俺も見る。今日あがンの早いから」
本当にAVじゃないか一緒にチェックしてやる、と笑いながら、斗真はホームに走っていった。
「ったく…」
斗真の後ろ姿が階段に消えるまで見送り、俺もホームに足を向けた。
「何…借りてくかな」
揺れる電車の中で、俺は家についてからのことを考えてワクワクしていた。