あの娘はいつも公園のブランコに揺られて笑っていた。
「ブランコに乗ってると風と一体化した感じるんだ…。
いつか本当の“風”になりたいな。
誰にも邪魔されない“自由”がそこにあると思うの…。」

いつもと同じ時間に同じ赤いブランコに乗りただひたすら力強く漕ぐ。

その姿はまるで空に挑むイカロスの様だった。

彼女が残した最後の言葉は—。

キー…キー…。
金属の輪が擦れる音が今日も聞こえる。
まるでメビウスの輪が無限を描く様に金属の輪は無限の旋律を鳴し続けていた…。
私の耳に、その音は吸い込まれていき、今日も目が覚めてしまった…。

軽く舌打ちをして、寝癖だらけの髪と顔を洗いにいつもの水道に行き、今まで寝ていた、公園の赤いベンチに腰を下ろし、昨日買ったであろう、ワンカップの焼酎を片手にただひたすら朝日が昇ってから夕日が沈むのを見つめていた…。

一言で言えば、ホームレスであるが、帰る場所が無い訳じゃなく帰る気がしないのだ。

ある時、ブランコから降りた彼女が声をかけてきた「オジサン何してるの?」

「私はオジサンじゃない。お兄さんだ。」

典型的な文句を言う。
すると彼女は「そういう事言うのがオジサンだって言うんだよ」って言い出した。
私はちょっと無言になった。

どっかの制服を来てるって事は、中学生か高校生か?
まあ、ガキから言わせたら28歳はオジサンなのかも知れない…。

少し黙っていると私の顔を覗いてきた、ちょっとこのまま見つめられるとなんだか心の奥底まで見透かされてしまいそうで、「何してるも何もここで生活している。アンタは何をしてるんだ?」と切替えしてみた。
すると彼女は「ブランコ。」と私にはもう興味なさそうにあくびをしながらを答えて来た。

ちょっと反応にイラっと来たので「昼間からブランコじゃないだろ?学校行け!!」っと声を放ってみた。

すると彼女を怒らせてしまったのか、「オジサンこそ仕事行きなよ!!この〇〇!!」っと行ってどっかに言ってしまった…。

おっと、自己紹介を忘れていたようだ…。

私は、この物語の主人公にして、世捨て人(世間的にはホームレス)になったばかりの、酒井信弘(28)だ。
ちなみに好きでこんな事してる訳じゃなく、まあ…なんとなくだ。
次の日からも彼女は朝から夕方近くまでブランコに乗りに遊びにくるんだが…。

その話はまた今度にしよう。

続く(かも知れない…。)
PS:バンドメンバーが小説書いてみたら?って言うんで書いてみました(笑)