実家を離れて自活し始めたのは22歳。
荷物を友達のトラックにのせ、走り出すときのことは目に焼きついている。
道路にまで出てきた両親は、2人並んでオレに手を振った。
もうすぐ夕方を迎える薄く黄色い陽の光の中で、手を振っていた。
オレもトラックが大きな道に出て、スピードを上げ始めるギリギリまで手を振った。
今までありがとう、と素直な感謝の気持ちだ。
2人の顔は少し悲しそうだった。
一応は笑顔だったけど、無理しているような感じ。
「じゃあね!」という母親の声は少し上ずっていた。
子供の頃から「早く自立しなさい」とオレに言い聞かせていたのに、
現実になると、寂しい表情を見せるなんてちょっとズルいよ、そう思った。
今までウザい存在でもあった両親の本音を知ってしまったようで、オレも目の奥が痛くなった。
ただ、これから始まる新生活への期待の方が大きかったんだ。
陽の光が強くて眩しかったのかもしれない、だからあんな表情をしたんだな、と自分に言い聞かせた。
悪い予感のかけらもなかった。
オレは自活して大人への道を歩くし、
まだ弟は学生だけど、来るべき弟が自立する日に向けて
両親は2人で将来への準備を始めるだろうと思っていた。
しかし、そうじゃなかった。
こうして振り返ると、実家を離れて自分の生活に没頭してしまったオレを責めたくなる。