防衛産業(軍需産業)と聞いて、濡れ手で粟のボロい商売と連想される方も多いかと思います。
他国はどうか知りませんが、少なくとも我が国では全然そんなことはありません。
むしろ、衰退の一途を辿っている状況です。
平成15年度以降防衛産業から撤退または倒産した企業は100社以上に及びます。
ちなみに自衛隊が使う装備を製造するのにこれだけの企業が関わっています。
・戦車:約1300社
・戦闘機:約1100社
・護衛艦:約2200社
・潜水艦:約1400社
(出典:『誰も語らなかった防衛産業【増補版】』桜林美佐 並木書房)
けっして、一部の有名企業だけで装備を造れるわけではないのです。
さて、話を戻しまして防衛産業が衰退している理由は大きく2つあると思います。
① 国からの発注数が少なく、採算が採れない(防衛費GDP1%枠や防衛費削減の影響による)。
② 研究開発費がほとんど企業持ち。
今回は日本の防衛技術の研究開発費負担の問題を取り上げたいと思います。
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<<各国の研究費>>
研究費(兆円) 政府負担(率) 政府→産業支出率
アメリカ 45.4 27.0 25.2
日本 18.8 17.8 3.8
中国 12.3 24.6 14.1
ドイツ 8.6 27.7 11.4
韓国 5.0 24.8 19.1
ロシア 2.7 61.0 None
日本の研究費の中に占める政府負担分は、約3兆3500億円(17.8%)であり、研究費の大部分約13兆6200億円は(72.4%)は企業負担となる。
<<日本国政府負担内訳>>
政府負担額:約3兆3500億円
大学 :約1兆6800億円
公的機関:約1兆4300億円
企業 :1261億円 ← 注目!!
(数値は2008年度 なお、端数を四捨五入する為、合計値が合わない場合がある
出所:科学技術白書で購買力平価換算値
出典:『軍事研究』2012年11月号)
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■構造上の問題
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<<開発費を企業が負担し、調達費の中で回収する現行制度が諸悪の根源>>
(例)『AH64Dアパッチ・ロングボウ』戦闘ヘリ
企業:富士重工業
予定調達数62機→調達数13機で打ち切り
予定調達数で分割するはずだったライセンス料金や設備投資費が回収できず、国に350億円の支払いを求め提訴する。
防衛省・自衛隊以外で武器・兵器を買う購買者はいないのですから、予定調達数に満たないと上の富士重工のように悲惨な目に合います。
これは、どーー考えてもおかしいです!!
<<“契約時の契約額”通りにいく?>>
防衛企業が防衛省と契約を結ぶ際には、契約時に契約額を確定します。
しかし、技術的に高度な場合、契約時に金額を確定することが困難な場合に行われる「中途確定条項付契約」があります
(開発や量産の初期段階で採用されることが多い)。
これは、契約の履行の途中までの実績に基づいて、代金の金額を後日確定するというものです。
しかし通常は、企業がコストオーバーした場合は、契約時の金額が上限のため、企業の利益は減となります。
一方、コストダウンに成功した場合は、その分を防衛省に戻さなくてはなりません。企業努力が働きにくい環境です。
(徐々にインセンティブを採用するようにしているようです。(例)コマツの1203ミリ迫撃砲榴弾)
(出典:『誰も語らなかった防衛産業【増補版】』桜林美佐 並木書房)
日本の国防はまさに、一般企業の一般人たちの“国家を守る矜持”で支えられていると言っても過言ではありません。
しかし、現行制度のままでは遠からず破綻するのは目に見えています。我が国の安全と平和を守るために防衛産業に対する保護と育成が必要ではないのでしょうか。
