似顔絵

麗かな陽に誘われて
春霞が故郷の山を上る頃

馬鹿げた夢に唆されて
17の歳に家を飛び出した

あれはずっと昔
母といた、どこかの遊園地

あれはずっと昔
ひとりぼっちの部屋の落書き

都会の夜を彷徨いながら
行方不知の河が今日も流れてる

あてのない希みに疲れ果て
お前は僕を諦めて出た行った

あれはずっと昔
涙で描いたお前の似顔絵

あれはずっと昔
ひとりぼっちの部屋の片隅

―渕上忠平—