冬の夜
雪いつまでも積もりゆく
春の夜
雨どこまでも降り続く

尻込みする僕を
無理矢理に引き摺り出して
君は何も言わずに
長い夜に溶けてゆく

渚にて
虚ろな希みを洗い流し
立ち止まり、煙草を燻らせて
暫しの眠りを貪って
僅かな温もりに身を任す

夏の夜
熱とめどなく湧き出づる
秋の夜
情かぎりなく吹き荒れる

忘却した刻を
否応無しに引っ張り出して
君は突然に来て
長い夜に去ってゆく

誰にとて
何気に涙が零れ出し
遣り切れ無さに戸惑いながら
理由なき寂しさを
胸の奥に直隠してる

—渕上忠平—