こんばんは

 

こうして40年以上前の名盤を聴いてて思うことは名盤は古びないなぁということ。

 

リマスターされた音源を聴く機会が多いという事もあるがやはりサブスクによるところが強いだろう。

一昔前は名盤を聴くという行為はTSUTAYA等のレンタルCDショップへ行き、お目当てのCDを見つけて喜びながら家に帰る、

そして数多の人に触られて汚くなったCDケースやヨレヨレになったカバーやライナーノーツと共に聴くのが常だった。

これがCD以前の多感な少年の頃のレコード時代になるとさらに強烈なノスタルジーを感じることになる。

 

それが今はサブスクでサッと検索しただけで新作と同じ感覚で聴けるようになった。

 

便利な世の中となりこの状況が当たり前になったが、引き換えとして無くなってしまった楽しみ・喜びというものは尊いものだったと感じる。

 

★今日のテーマは↓です★

 

★{80年代未聴の名盤を聴くという試み}★

 

◆アルバムの感想(1980年代)◆

・バンド名:U2

・アルバム名:BOY

・リリース日:1980年10月20日

 

 

 

アイルランド出身のロックバンドU2のデビュー・アルバム。

真っ直ぐ見つめてくる少年のアップが印象的なジャケットは発売当時は児童性愛を思わせるということでメンバー写真に差し替えられたとか。Wikiによるとこの少年は写真家になったよう。

性的な見方もできるジャケットですが、やはり無垢で穢れのない少年の表情という印象。

 

 

プロデューサーはスティーヴ・リリーホワイト

サードアルバムの[WAR]まではメインプロデューサーだ。

彼がプロデュースした個人的にも好きなアルバムであるポーグスの落ちた天使、ビッグ・カントリーのデビュー・アルバムも寒々としているけど清廉で熱さを感じるロックアルバムだ。

 

まずは率直なキーワードから。

 

1. リズム隊が前面に出ている

2. 骨格むき出しという感じの生々しさ

3. エッジのギターもボノのヴォーカルもくっきり聴こえる

4. 4ピースバンドとしてのバランスは完璧といって良い録音

5. 時折性急に走りまわるリズム隊に気持ちが引っ張られていく

6. 歌詞は抽象的ではあるけど若い頃に感じる孤独や疎外感とかナイーブな感性を感じる

7. いわゆるキラー的な曲はないがアルバム通してピュアで鮮烈な印象を受ける

8. 現在のU2の繋がる部分はある

 

といったところだ。

 

1曲目の[I Will Follow]からドラムとベースもギターもヴォーカルもくっきりはっきり聴こえるロックアルバムとしては理想的なバランス。

3曲目の[An Cat Dubh]はミディアムテンポの曲だが、後半性急で走り気味ではないかと思うリズム隊がビートを刻む中、それにつられてエッジのギターも走り勝ちになっていくところが青くて若々しくて良いな。

聴いているこっちも気持ちが熱くなってくる。

 

そしてこの流れからの次の[Into The Heart]に傾れ込む。

これがデビュー作とは思えない流れでゾクゾクする。

だけど曲やヴォーカル・演奏はしっかり青くて若い。

 

アルバム通して冷ややかな肌さわりと空気感があるけど触れると熱いというU2特有の空気感はもうこの時点で出来ている。

これぞプロデューサーのスティーヴ・リリー・ホワイトのサウンドであろう。

 

5曲目の[Ou Of Control]や6曲目の[Stories For Boys]や10曲目の[The Electoric Co.]のように適材適所にスピーディーな曲が散りばめられているのも嬉しい。

速弾きギターヒーローのみが目立った80年代だが[The Electoric Co.]を聴くと鮮烈でフレッシュなギターリフ、クリーンなトーンだが荒々しくもエモーショナルなエッジのギターは必聴である。

 

歌詞はU2のイメージである社会派というより少年・青年時代に感じる不安や危うくも瑞々しい心情という感じを受ける。

 

今でもライブでやったり全時代のベスト盤に入るような有名な曲はかろうじて[I Will Follow]くらいでキラーな曲がないが、とにかくアルバムトータルの流れが素晴らしい。

一枚通して何度か聴いているとロックがやりたくてしょうがない、今これを表現したい、という熱いパッションを感じる。

 

今作が出た80年はパンクの波が過ぎ去り、まさにニューウェーヴが押し寄せて時代は新しいロックを求めていた時期。

一聴すると無骨で古く感じさせるかもしれないが、当時聴いた人達はU2という個性の塊に鮮烈なインパクトを感じたことだろう。

今聴いても古びた感覚は受けない。

 

U2という若いダイヤの原石のようなバンドをスティーヴ・リリー・ホワイトが磨きをかけながら輝きを引き出している時点をスパッと切り取ったようなアルバムだ。

 

時代の寵児だった80年代やエレクトロに走っていった90年代以降、そして現在のセレブ・バンドになったU2とは完全に切り離して聴ける。僕が知るU2の初々しくもラフな姿が聴ける。

ブレイクしてからのU2だけしか聴いてなかった者としては尚更そう感じる。

 

ただU2はこの始点である自身のルーツであるファースト・アルバムのコアを今でも持ち続けているのは感じることが出来る。

退屈に感じた最新作[Songs Of Surrender]も、この作品を聴いた後だと背筋を伸ばして聴くことが出来そう。

 

ではまた。

 

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