こんにちは
「エンタメNikki」と銘打ちながら古いロックの名盤のレビューをつづっている毎日です。
本当は他に好きなエンタメ(といっても映画やドラマかな)の記事も書くつもりだったけど、音楽ネタしか出ないのは予定外でした...というわけでまだ始めたばかりなので今日も名盤レビューで行ってみます。
★今日のテーマは↓です★
◆{80年代未聴の名盤を聴くという試み}◆
◆アルバムの感想
・アーティスト名:Peter Gabriel (ピーター・ガブリエル)
・アルバム名:Peter Gabriel 3 : Melt
・リリース日: 1980年5月30日
ピーター・ガブリエルは1970年代にプログレ・ロック・バンドのジェネシス(GENESIS)のヴォーカリストとして活躍し、ライブにシアトリカルな効果を導入し、奇抜な衣装やメイクでのパフォーマンスで有名になった人です。
この頃の写真はネット上に写真とともに様々な情報がありますが、メイクも衣装も怖すぎ。
怖いといってもSLIPKNOTとかのメタル系やブラックメタル系のコープスメイクのようなゾンビや悪魔崇拝等のクリーチャー的な怖さでなく、異形の生物としか言いようがない不気味さです。
昔の特撮映画の悪者キャラというのが近いかもしれないですが、アナログ感たっぷりなメイクと衣装が余計に恐怖感を感じてしまい、どころかいっちゃってる人という印象でした。
子供心(といっても中学生の時ですが)に初めて雑誌で写真を見たときはショッキングだったなぁ。
同時代のシアトリカルなアーティストのデヴィッド・ボウイとかと比較しても、ある意味もっと奇抜だったので、人々にショックを与えた反面、ギャグにもされてしまうといったり誤解も受けたと思いますがどうだったんですかね。
1975年にジェネシスを脱退し、その後、ソロ・アーティストとして活動を再開して、奇抜なファッション・メイクとともに、ワールドミュージックへの傾倒等、ジェネシス時代の音楽からも離れていったようで、今作がソロ3作目です。
私のピーター・ガブリエルのリアルタイム体験はかの有名な6作目の1986年[SO]ですね。
アルバムが全世界で大ヒットしました。
大ヒット曲のスレッジハマーや、全米トップ10入りもしたビッグ・タイムといったポップな曲とともにシリアスな曲もあり、実力派ベテランアーティスト/ミュージシャンといった立ち位置でした。
そんなピーター・ゲイブリエルも渋いおじさんを通り越して御年74歳でおじいさんといって良い歳になり、今年に入って最新作[i/o]がリリースされました。
まだ未聴なのでこの新作に先立って80年の名盤を聴いてみようと思います。
★前置きが長くなりましたが、感想です。
まずは率直なキーワードからです。
1. 顔が溶けてるジャケット怖い。通称 MELT (溶ける)と言われている通りだ。
2. 1曲目から陰鬱で不気味なサウンドが展開される。
3. とは言いながらも音楽としてはメロディアスで一般性を兼ね備えている。
4. 独特なエキセントリックな声が奇妙さを感じるがどの曲も完成度が高い。
5. 7曲目は有名曲だな。聴いたことある。かっこよい。
6. ギターやドラムが良いな。多様な音楽ジャンルの人という印象があるがロックアルバムだ。
7. ラスト10曲目の[Biko]は超有名な名曲。歌詞も印象的で素晴らしい。
8. 概してすばらしいアルバム。歌詞を読みながら何度か繰り返して聴きたくなる。
といったところです。
まずピーター・ゲイブリエルという人を感じるアルバムです。
人柄というのではなく、アーティストとしての個性であり、ピーター・ゲイブリエルにしか作りえない音楽を感じます。
音から映像を喚起させるところもあり、シアトリカルなパフォーマンスで養ったジェネシス時代もこの作品で生きています。
ピーター自身は当時、聴き手を意識した音楽作りをしていたかわかりませんが、あくまで聴き手を置いてきぼりにしない大衆性を備えたロック音楽。
これが当時からロックファンを始め幅広い音楽ファンに支持された所以だと思いました。
1曲目の侵入者(Intruder)からしてエレクトロの効果音が曲の世界観をより強めています。
前半は精神に異常をきたしたものの独白といった曲が展開させていきます。
ギターやピーターのフェイク、ベースのうねりなどが世界観をより強めます。
4曲目[I Don't Remember]は打って変わってホーンやエレクトロピアノの美しい音色が聴こえるドラマティックな曲。
ちょっと尾崎豊っぽいアレンジです。
陰鬱だった前半に比べて開けて見通しのクリアーな音像の良いサウンドスケープを感じます。
中盤はポップと言っても良い音楽です。
後半は7曲目の[Game Without Frontiers]は戦争を題材としたメッセージ性の高い曲。
後半は社会・世界に目を向けたメッセージ性の高い曲が続きます。
ラストはロック史に燦然と輝くといって良い名曲[Biko]でアルバムは完結します。
ビコは南アフリカの反アパルトヘイト運動の指導者であり、歌詞は情緒的だったりビコの偉業を語るようなことはなく、ビコが亡くなった日のことやピーターが感じた日常的な出来事や思ったことで故人を追悼することで人種差別の愚かさを訴える歌詞になっています。
ピーター本人なのか、アルバム序盤は社会から排除され精神的に問題を抱える人間が覚醒していくことにより、社会・世界へ目を向けていくコンセプト的な作品。そんな印象を受けました。違うかもしれませんが。
まだ3,4回聴いた程度です。
そんな簡単なものではないだろうはずなので、これからもじっくりこの作品に向き合う時間を持ちたいぞぃ。
ではまた。
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