東京新聞 より
福島第一周辺の子1000人調査 甲状腺微量被ばく45%
2011年7月5日 朝刊
東京電力福島第一原発の事故で、国の原子力安全委員会は四日、三月下旬に福島県内の第一原発周辺の市町村に住む子供約千人を対象に行った放射線被ばく調査で、45%の子供が甲状腺に被ばくしていたことを明らかにした。安全委の加藤重治審議官は「精密検査の必要はないレベル」と話している。
調査は国と同県が三月二十六~三十日に、甲状腺被ばくの可能性が高いと予想されたいわき市、川俣町、飯舘村で、ゼロ~十五歳までの千八十人を対象に実施。45%の子供に被ばくが確認された。
安全委によると、最高値は毎時〇・一マイクロシーベルト(一歳児の甲状腺被ばく量に換算すると年五〇ミリシーベルト相当)に上ったが、99%は毎時〇・〇四マイクロシーベルト以下。同様の換算で年二〇ミリシーベルトに相当するが、加藤審議官は四日の記者会見で「換算するには(調査の)精度が粗い。精密測定が必要な子供はいなかった」と述べた。
国際放射線防護委員会(ICRP)勧告では、年間一〇〇ミリシーベルトの被ばくで発がんリスクが0・5%高まるとして、同量を緊急時の年間被ばく限度としている。今回の調査でも一〇〇ミリシーベルトを基準とし、一歳児の甲状腺被ばくの年換算でこれに相当する毎時〇・二マイクロシーベルトを超えた場合、精密検査をする予定だった。
国が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書では、千八十人の子供の甲状腺被ばくを調査したことを記しているが、何割の子供が実際に被ばくしていたかは明らかにしていなかった。
阿修羅掲示板 より
[CML] 小出先生、「子どもの被曝、IAEAに報告しているのに国民は知らない、追跡調査もしない、ひどい話だ」
みなさまへ (BCCにて)松元
小出先生の「たね蒔きジャーナル」7月4日と5日分をあわせて転送いたします。
4日は、玄海原発の脆性破壊のお話。鉄が中性子線をあびてもろくなるとガラスのように壊れるのだそうです。
5日には、子どもたちの被曝調査のあまりのずさんさに、小出先生も怒っております。
同じ5日、毎日新聞の特集ワイドから小出先生が尊敬する田中正造の話を、永岡さんが紹介していますのであわせて転載いたします。
以上3点ですが、まとめて送ることをお許しください。。
●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。
http://hiroakikoide.wordpress.com/
======7月4日分=======
永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞ほっと兵庫編集長の平野幸夫さんの解説で放送されました。
原発関係のニュース、おとといからの循環冷却、1号機の注推量が減るトラブルがありました。警報が鳴り、配管にごみが詰まった可能性もあります。
定期検査で停止の玄海原発、岸本町長は運転再開に同意しました。ヒューマンエラーが出ないようにと町長は要請しています。福島事故後、再開に同意はこれが初めてです。古川知事も淡々と受け止めています。県議会と管総理の意向を受けています。
格納容器の蒸気を逃がすベント、敦賀原発1号機に設置されていないことが分かりました。福島と同じ沸騰水型で、危険性1%でベントをつけていなかったのです。
で、小出先生のお話、玄海原発の再稼動、国が安全だと言い、国が責任を持つというのですが、「それなら、福島には安全性は保障していなかったのか」、福島は地震の確立ゼロで、安全と言っていた、地元の人も信じていたのに事故になった、原発は事故になったらとんでもないのに、国が安全だからと、知事がそんなことをいえるのかわからないと言うことです。
玄海原発は老朽化しており、敦賀の1号機、美浜の1号機も41年、老朽化では玄海のみではない、しかし、老朽化すると、玄海では圧力容器の壊れる可能性があり、圧力容器は金属であり、加工、曲げるのが可能でガラスと違う、しかし、鉄も中性子を浴びると脆くなり、一番初めの鉄は常温(20~30℃)では脆くないが、中性子を浴びて、ガラスのように脆くなり、温度はマイナス何十度に冷やさないと大丈夫ですが、中性子を浴びると、鉄もガラスのようになり、玄海のものは、90℃程度でガラスのようになり、通常の200℃では大丈夫だが、90℃に冷やすと「割れるように壊れる危険性がある」のです。そうなれば手の打ちようがない(容器なし=メルトダウン、大気中、地下に出て行く)、環境に放射能が出るのです。
同型の原子炉、関西は加圧水型で、万一に怖いのです。加圧水型は温度、圧力も高く、より厳しいのです。
どのタイプ、何年たてば危ないかは、電力会社も分かっていないのです。原子力は1954年に商業用原子炉がソ連で始まり、まだ新しい、何年持つか、40年と思いつつ、40年持つかは、原子炉に試験片を入れて、鉄がガラスになるか見ているものの、それでも不明で、敦賀でまだ動いている、安全性を食いつぶしてやっているので、こういう原子炉は止めるべきなのです。
ドイツでは止める動きもあります。ただ、わからない領域もあり、しかし、危険性は上がっているのです。コストの面からも怖いものを使っているのです。
鉄がガラスのように壊れることは私も聞いたことがありましたが、ここまで具体的な話は初めてでした、明日もお伝えいたします。
======7月5日分======
永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞ほっと兵庫編集長の平野幸夫さんの案内で放送されました。今夜7時過ぎに和歌山で震度5強、東日本大震災後、関西での大きな揺れは初めてで、恐怖を覚え、ラジオを聞きました。いつも7時半から聴いている音楽番組は中断されませんでしたが、怖かったですよ。
まず、松本大臣の辞任、平野さん、被災地の神経を逆撫でしたお詫びが要るし、言葉も情緒的との批判がありました。政治家は何をしたかではなく、成果であり、マイナスの遺産を残し、菅総理の人を見る目のなさ(辞任4人目!)も問題とのことです。仙谷氏、もう泥舟に乗りたくないという意見でした。後任の平野氏は小沢氏の派閥ですが、そこまで菅内閣に余裕なし、平野大臣、問題発言をしており、それでもやらないといけない菅総理のお粗末さを平野幸夫さん批判していました。
原発のニュース、東電避難対象となっていないところで、チェルノブイリの強制移住の基準を超える場所が福島市に見つかりました。神戸大山口氏の検査で、福島市、93万ベクレル/平方メートルの放射能で、チェルノブイリを越えている(こちらの基準は50万)のです。市民団体の調べで、20ミリシーベルトの基準は内部被曝を考慮していないということです。
東電、100~75万円支払いましたが、今回1ヶ月に10万円/人支払います。
そして小出先生のお話です。国の原子力安全委のことで、ある調査で、子供1000人の放射線被曝の調査を3月下旬にしていたのが明らかになり、45%の子供に甲状腺に被曝があるのです。ほぼ半分なのですが、「当然、もっと多かったかも知れない」が小出先生の所感で、飯館村など、原発から離れたところの子供たちで、「近いところの子供をなぜ調べなかったのか」、3月11日にSPEEDIでどこの子供が被曝するかわかっていたのに、公表せず、子供たちを被曝させてしまったのです。それも時間が経ってからです。
1000人の子供で、一番高い被曝は1歳の子供で、甲状腺被曝0.1マイクロシーベルト/時間であり、甲状腺被曝=50ミリシーベルト/年であり、「小さすぎる」、離されたところでの調査で、原発近くの子供はもっと被曝している、500ミリシーベルト/年の子供がいるのです。甲状腺が障害を受ける被曝です。
審議官は精密調査は要らないと言っていますが、ケアは当然必要であり、浪江町は調査なし(原発に近く、データが必要なのに)、IAEAに1ヶ月前に報告しているのに、我々に伝わるのが遅い、IAEAに言ったこと、小出先生には来ていません。原子力推進の人には来ているかも知れませんが、小出先生には来ていないのです。IAEAの調査書に被曝データがあるのに、何割被曝していたか、調査書には書かれていないのです。IAEAは原子力を進める機関で、それに支障のあるデータは知らされたくないのです。しかし、45%の子供が甲状腺に被曝で、これを知らせたら、日本政府は批判される、遥か離れたところの子供で45%であり、追跡調査を日本政府がやらないとは、とんでもないことなのです。
0.1マイクロ/時間だけなら、たいしたことのない数値と思いがちですが、「被曝は年齢、個人差が大きい」、何でもない人もいるし、大変な人もいる、全員の追跡調査をすべきなのです。
換算するには調査の精度が荒いと審議官がいい、ヨウ素は8日で半分になり、排泄される、被曝時に調査をしないといけないのに、3月下旬だと、ヨウ素はなくなり、調査は難しいのです。しかし、調査する人はそんなことは分かっている、安全委員会がまったく機能していないのです(あるいは、数値を減らすためにここにしたかと水野さんのコメントあり)。
事故当時に対策が必要で、1mでも遠くに避難と、小出先生3月12日に言って、しかし国はただちに影響なしと逃げていたのです。唖然です。
私の師匠は、私の専門範囲は流体の熱物性ですが、「国際的に通用するデータを出せ」と叱咤激励され、特にデータの精度にはものすごく厳しい人でしたが、私の師匠がこの話を聞いたら発狂すると思いました。明日も、お伝えいたします。
=====7月5日永岡さんより、小出先生と田中正造======
永岡です、毎日新聞の特集ワイドで、京都大学原子炉研の小出先生のことが取り上げられています。
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20110704dde012040013000c.html
全文の引用は避けますが、私の感銘を受けたところを引用します。最後の、小出先生が、田中正造さんを尊敬しているところです。
<ふと目の前にあるついたてを見ると、ひげをはやした老人の顔写真があった。足尾鉱毒事件の被害者救済に生涯をささげた明治時代の政治家、田中正造。「私が最も敬愛している人です」
日本が列強入りを目指し、日露戦争に突き進もうとした時代。正造は、群馬・栃木県の渡良瀬川流域で起きた足尾銅山からの鉱毒公害を告発し、権力の横暴と闘った。明治天皇に直訴し、自らの命と引き換えに農民たちを救おうとしたことはあまりにも有名だ。
くしくも震災発生直前の3月8日、正造の晩年の直筆短歌が栃木県で見つかった。
<世をいとひ そしりをいミて 何かせん 身をすてゝこそ たのしかりけれ>
そしりを受けて世を恨んでも仕方ない。身を捨てて事に当たればこそ楽しいこともあろう――。「正造さんは国家に見捨てられた農民に最期まで寄り添い続けた。亡くなる時も、自分の病気より鉱毒のことを気にして、住民を叱咤(しった)した。実に潔い生き方だと思います」
鉱毒と原発――。二つの出来事が時を超えて重なる。
「原発には都会が引き受けられないリスクがある。そのリスクを、都会の住人は社会的に弱い立場にある過疎地の人たちに押しつけている。仮に原発事故が防げても、原子力を使い続ける限り核のゴミ(放射性廃棄物)は増え続けるし、人間はそれを無毒化できない。私たちの世代は、自らの利益のために、選択権のない後世にその『毒』を押しつけているのです」
後世への責任。それは小出さんが常に強調してやまないことだ。「原子力の場にいる私にも普通の人とは違う責任がある。そして、普通の日本人の皆さんにも責任はあると思う。推進派にだまされたかもしれない。でも、だまされた責任もあるはずです」
とすれば、やるべきことは何か。
「原子力を進めてきたのは大人だが、そのしわ寄せを受けるのは、おそらく子どもたちです。子どもたちの犠牲を何とか少なくするために、私は自分なりに責任を果たしていきたいのです」
この国の原発数は米仏に次ぐ54基。自ら「異端」と称する研究者は、これからの長く険しい闘いを覚悟しているようだった。>
今夜も、小出先生の放送をまたお知らせいたします