英国の地を踏んで、かれこれ一月半がたった。
カレッジの語学の授業にも慣れてしまってからというもの、
曜日毎にルーティンをこなす日々といったところ。
6月は最初の週と最後の週は丸々授業がないので、月の半分がホリデイ。
とんでもないカレッジだなと思いつつも仕方がない、
海外の大学はほとんどアカデミックイヤーが9月から6月。
つまり今の時期は学期末でもあり、9月までの長い夏休みの直前期間にあたる。
今週は6月最後の週のホリデイになる。
補講が何日かあった以外は一週間ほとんど休み。
前回(6月上旬)のホリデイには1人でロンドンに行っていたからよかったものの、
今回はところどこと授業や予定が入っているため遠出の予定もない。
そのため、ホームステイ先にいる時間がいつも以上に長い。
僕が英国に来てからというもの、それはもう発見や感動の連続だった。
レンガ造りの建築物、異教の背景を持つ町並み、どこまでも続く平原、
そして英国人の文化、価値観の違い。
それらの新鮮な感覚もある程度時が過ぎると鈍くなっていくのが常だ。
これもこちらでの生活に体が馴染んできたということだろう。
いや、ただ一つだけ、こちらにきた当初から受け入れられないものがあった。
飯が、不味イイイイイイイ
twitterではもうこの国に来て以来これしか呟くことがない。
そのため「せっかくイギリスにいるのに全然楽しそうに見えない」
などと言われる始末である。
だが、考えてもみてほしい。
数日間の旅行ならまだしも、こちらは生活しなければならないのだ。
日々の生活で出される料理は観光地のレストランで出るようなものではない。
「イギリスは料理が不味い」
というのは最早定説である。
しかし、グローバリゼーションが進む昨今、
ましてや多民族国家のこの国が、他国の食文化を受け入れていないわけないだろう。
そう思っていた、渡英前は。
たしかに街には世界各国の料理店が軒を連ねている。
家庭料理に関しても、さまざまなメニューを取り入れていることだろう。
ホームステイ先の食卓にもパスタやカレーがよく出る。
なーんだ、日本と変わらないじゃないか。初見ではそう思っていた。
僕は、この国に来て初めて知った。
料理を一口食べた後、残りが「腹を満たすためだけの苦行」になるという感覚。
僕は初日にホストマザーが出したスパゲッティがトラウマだ
湯で加減がおかしかった。びちゃびちゃで水っぽい。
湯で時間が適切でないなど、全ての麺類において許されざる行為だ。
というかパスタ自体に問題があるのかもしれない。
僕は食材の好き嫌いはあれど、味付けに癖のあるエスニック料理は大丈夫だ。
特に日本人が苦手な東南アジア系の料理も好きだし、
韓国、インド、バングラデッシュ、ロシア、だいたい各国の料理は食べれる。
だから、味付けが酷いとか不味いとかいう話ではない。
味がない。blandなのだ。これに尽きる。
そもそも、毎度の食卓には塩コショウが絶対に置かれている。
これは自分で味をつけろ、というのがこの国では常識らしい。
しかし、中には塩コショウでどうにもならない料理もある。カレーなどがそうだ。
カレーはスパイスが味を作るためほとんど塩コショウに頼れない。
しかし、うちのマザーが出すカレーは豆や野菜とほんのわずかな肉、
辛いとかしょっぱいという刺激がない。濁った液体。
しかし、たまにはそれなりに美味しい料理が出てくるときもある。
ラザニアやチキンスープは今まで出た中でも記憶に残る程まともだった。
だが、後に自分で料理を作るとき冷蔵庫を漁っていて気付いてしまった。
ラザニアはTESCOの冷凍食品、
チキンスープはHEINZというこの国で最もポピュラーなブランドの缶詰だった…
うちのホームステイの夕食はジャガイモ(主食)とグリーンピース、あと主采というのが普通だ。
それらが一つの皿に盛られる。主采以外は自分で取り分ける。
主采はだいたい魚のフライみたいなやつ(冷凍食品)か鶏肉か豚肉。
味付けは自分でケチャップかBBQソースを垂らす。
肉類はとても小さいので、だいたいお腹を膨らますのはジャガイモとグリーンピースだ。
とにかく栄養が足りてないことは間違いない。
一ヶ月ほどでウェストがくびれてきたので、最近はスナックを常備して食前食後につまんでいる。
僕は一人暮らしの時から夕食で二品以上のおかずと米を1.5合から2合食べていた。
それに比べると量も少ないし、何よりも食欲をそそるようなものがない。
あんな粗食で、なぜホストファザーとマザーが太っているのか理解できない。
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もちろん全ての家庭の料理が美味しくないわけではない。
他の日本人留学生にも聞いてみたところ
ホストファミリーのは料理は可もなく不可もなく、むしろ美味しいという人もいるくらいだ。
他の国から来た留学生(主に中東系の男子学生)にも毎回この質問をするが、
だいたい飯は不味いという。中には飯が不味いので、学生寮に移ったという奴もいる。
(男子学生だけ飯の不味いホームステイに引き渡されているのか…?)
ここまではホームステイ先の愚痴に思えるけど、
実際家庭だけでもない。
カレッジの食堂に売っているパスタやバーガーもそのままだと味が薄い。
だからといってソースが置いてあるわけでもない。
和食には出汁、下味があるけど、あらためてその大切さを思い知らされる。
料理の質については、イギリス人も自覚していて
よく自虐的に、「イギリスの料理も天気も最高だろ!?」なんて言っている。
(イギリスの天候は変わりやすく、一日中快晴の日は少ない)
かつて七つの海をまたにかけた大ブリテン王国も、
美食文化は発展途上国に馬鹿にされるレベル。
食文化が育たないからこそファーストフードが流行して肥満大国になっているのが現状だ。
そろそろ夕食の時間だが、憂鬱になってきた。
