Rockchip RK3588 と RK3688 は、いずれも高性能な ARM ベースの SoC ですが、RK3688 は RK3588 の後継として、AI 処理能力やメモリ帯域、I/O、マルチメディア性能などが全体的に強化された次世代チップです。
RK3688 は、特に AI/NPU 性能の向上が大きな特徴です。RK3588 と比べて AI 演算性能(TOPS)が大幅に増加しており、より大規模な機械学習モデルやリアルタイム推論処理に適しています。エッジ AI、映像解析、スマートデバイス向け用途では明確な優位性があります。
メモリとシステム全体のスループットも改善されています。高帯域メモリへの対応や内部構成の最適化により、複数の高負荷タスクを同時に実行した際のボトルネックが軽減されています。これにより、AI 処理、動画処理、グラフィックス処理を並行して行う用途で安定した性能が期待できます。
Rockchip RK3588 と RK3688 の比較表
| 項目 | Rockchip RK3588 | Rockchip RK3688 |
|---|---|---|
| 位置付け | 現行世代の高性能 SoC | 次世代・高性能 SoC |
| CPU 構成 | ARM Cortex-A76 + Cortex-A55 | より新しい高性能 CPU 構成(改良版) |
| CPU 性能 | 高性能、実績多数 | RK3588 より向上 |
| GPU | Mali-G610 系 | より高性能な次世代 GPU |
| GPU 性能 | 高解像度 UI・3D 描画に十分 | 3D・高解像度描画でさらに強化 |
| NPU / AI 性能 | 約 6 TOPS クラス | 大幅に向上(より高い TOPS) |
| AI 処理用途 | 基本的なエッジ AI、映像解析 | 大規模モデル、リアルタイム AI |
| メモリ対応 | LPDDR4 / LPDDR5 | 高帯域メモリ対応(改良) |
| メモリ帯域 | 実用十分 | より高帯域・高スループット |
| 動画デコード | 最大 8K クラス対応 | より高性能・多ストリーム向け |
| 動画エンコード | 高解像度対応 | より高フレームレート・高負荷対応 |
| マルチメディア用途 | SBC、メディア再生、サイネージ | 放送、AI 映像処理、業務用途 |
| ストレージ | eMMC / NVMe / UFS | UFS 4.0 など高速ストレージ対応 |
| PCIe | PCIe 3.0 クラス | より高速な PCIe 対応 |
| I/O 拡張性 | 十分 | さらに強化 |
| 電力効率 | 良好 | 改善されているが発熱設計が重要 |
| ソフトウェア成熟度 | 非常に成熟 | 初期〜発展段階 |
| 市場実績 | 多数の製品で採用済み | 今後の採用拡大が期待 |
| コスト | 比較的安定 | 初期は高価になる可能性 |
| 推奨用途 | SBC、IoT、産業機器 | AI、映像処理、次世代製品 |
GPU およびグラフィックス性能も Rockchip RK3688 では向上しています。UI 描画、3D レンダリング、GPU を利用した計算処理において、より高いパフォーマンスが見込まれます。特に高解像度ディスプレイを使用するシステムでは差が出やすいポイントです。
マルチメディア機能についても、RK3688 はより高解像度・高フレームレートの動画処理を想定した設計になっています。複数のビデオストリーム処理や、最新の動画コーデックへの対応が強化されている可能性があり、デジタルサイネージ、放送機器、映像処理用途に向いています。
I/O とストレージ周りでは、RK3688 はより新しい高速インターフェースへの対応が特徴です。UFS 4.0 や高速 PCIe などをサポートすることで、ストレージアクセスや外部デバイスとのデータ転送性能が向上しています。これにより、システム全体のレスポンスが改善されます。
電力効率の面では、RK3688 は新しい設計とプロセス最適化により効率向上が期待されますが、性能向上に伴い消費電力や発熱設計への配慮は必要になります。
一方で、RK3588 は現在でも非常に実用性の高い SoC です。多くのシングルボードコンピュータや組み込み製品ですでに広く採用されており、動画再生、IoT、産業用途、ロボティクスなど多くの分野で十分な性能を提供します。
RK3588 の大きな利点は、ソフトウェアエコシステムの成熟度です。Linux や Android 向けのドライバ、SDK、コミュニティの情報が充実しており、開発や量産におけるリスクが低い点は重要なメリットです。また、価格や入手性の面でも現実的な選択肢となっています。
総合的に見ると、RK3688 は将来志向の高性能用途、特に AI 処理や高解像度メディア処理を重視するプロジェクトに適しています。一方、RK3588 はコスト、安定性、実績を重視する現在の製品開発において、依然として非常にバランスの取れた SoC です。
用途、開発スケジュール、コスト、必要な性能レベルに応じて、どちらの SoC を選択するかを判断することが重要です。
