またまたFUJI ROCK FESTIVAL'26の話。(今回が最後です。)連日、Amazonプライムの生配信を観ていた。
最終日の7月26日、FIELD OF HEAVENに出てきたのが、正体不明の覆面ユニット、アンジーヌ・ド・ポワトリーヌ(Angine de Poitrine)。
全身水玉模様。顔も覆面。
ギター&ベースとドラムの2人組。
カナダ・ケベック州の人らしい。
「なんだ、こいつら」と思って見ていたら、突然記憶が呼び起こされ「あっ」と声が出た。1980年代、美大生だった頃に自分がやっていた覆面バンドに似ている…そっくりなんじゃないか。
「変な格好をして、変な音を出して、よくわからないことをやる」という感じ。
アヴァンギャルドでサイケなロック。何やら親近感とシンパシーを感じてしまった。アンジーヌ・ド・ポワトリーヌを見て「コンドー&ムー」(ユニット名)を思い出した。
1980年代……
俺がアーティストを目指してアートスクールに通っていた頃、悪ふざけのようなノリで組んだバンド。
ギター、ドラム、ボーカルの3人編成。
俺はギター。ピンクのアリアPro2のフライングVモデルを持ち顔は白塗り。
鼻には尖ったクチバシのような70センチくらいのウレタンスポンジ。金髪ロン毛のかつらに、魔女みたいな尖った帽子とマント。赤いスリムジーンズにロンドンブーツ。ドラムはコーヒー豆のズタ袋を頭からかぶりシルクハット。そしてボーカルが、岡山出身の近藤くん。
忌野清志郎やスターリンの遠藤ミチロウに憧れる、反体制のロックンローラー。岡山ではそこそこ有名なローカルスターでラジオ番組のレギュラーDJもやっていた。とにかく才能のある男だった。
近藤くんが「RCサクセションの『気持ちE』みたいな曲をやりたい」と言う。
それなら、とスタジオに入った。
ちゃんと練習するというより、即興で曲をつくりライブパフォーマンスをやろうという話だった。ユニット名は「近藤 アンド ムー」になった。
…別に何でも良かった。
ベースレスなので、俺がギターで轟音を出し思いついたリフを刻む。
ドラムは、それに自由に合わせる。
コード進行はシンプル。
その合間に、フランク・ザッパやエイドリアン・ブリューの影響丸出しの変態的なギターフレーズを入れる。そこへ近藤くんが即興で歌メロと歌詞をつける。
例えば、ヴァン・ヘイレンの「You Really Got Me」のリフを俺が弾く。
ドラムは、わざとドタドタした重低音。
近藤くんが、「ズッコン、バッコン!」
と吠える。
マイケル・シェンカーの「Into The Arena」のギターリフを弾く。同じリフを延々と弾き、近藤くんがその上で「スケスケギャル❗️」と。叫び続ける。ドラムは変拍子を叩く。
ケミストリー(化学反応)が起こり何だか演奏がカッコよく聴こえてくる。
そんなセッションを2時間ほどやっていたら、4曲できた。
「コンドー&ムーのテーマ」
「ズッコンバッコン」
「スケスケギャル」
「温泉ボヨヨンロック」
これでライブハウス、学園祭、野外ライブイベントに出演した。意外とウケた。10代の高校生男子に人気だった。
今思えば、ベースレスなのもよかった。
ギターとドラムだけだから、気ままにやりたい放題。演奏が多少グチャグチャでも、即興性があるように見える。
変な格好をしているから、さらにそれらしく見える。顔を隠しているから怖いモノ無しで暴れる。思い切ったパフォーマンスが出来た。(隠さないとちょっと恥ずかしい)
そんな昔の「コンドー&ムー」を、アンジーヌ・ド・ポワトリーヌを見て思い出した。彼らは、アシッドテクノやディスコ、ロックなどがルーツに感じられタイトなドラムとギターが絡み、不協和音も交じった独特の音を出す。前衛的かつ実験的。何だか音楽的にも近いモノを感じる。水玉の覆面を見ていると、「こういうこと、昔やったよなあ」と思ってしまう。1980年代の自分たちに、再会したような気分だった。
今年は、浅井健一、a flood of circle、Donavon Frankenreiter、サニーデイ……と、どうしても自分の好きなロックに偏って観ていた。
だから最終日は、「知らないバンドも観てみよう」と思ってアンジーヌ・ド・ポワトリーヌを観たのだ。「来年もAmazonプライムの配信があるならば、3日間どっぷり観たい」と思った。今年は金曜日は仕事で出勤し見逃した。
決めた。
来年は金曜日、仕事を休む。
朝からビールを冷やして、Amazonプライムをつける。妻が藤井風を観ていても、もう慌てない。仕事を休んで観よう。来年のフジロック。金曜日の休暇届を出すことを心に決めた。











