Solution/Divergence
ソリューション/ダイバージェンス
1972年リリース
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美しくエレガントなフレーズを奏でる
プログレッシヴジャズロックの名盤
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同郷のフォーカスとの親交も厚かったオランダのプログレッシヴジャズロックグループ、ソリューションが1972年に発表したセカンドアルバム。そのアルバムは情感的なサックスやエレガントなフルート、そして繊細で美しいピアノをフィーチャーしたカンタベリー風のジャズロックとなっており、フランク・ザッパやソフト・マシーンの影響を受けた革新性の高い1枚となっている。後に彼らはディスコの到来と合わせてソウルファンクグループへと変貌を遂げるが、本アルバムを含む初期の作品はクオリティの高いプログレッシヴな作品として現在でも高く評価されている。
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ソリューションは1970年にオランダのフローニンゲンで結成されたグループである。そのグループの中心であるトム・バーラージ(アルト、ソプラノ、テナーサックス、フルート)とウィレム・エンネス(ピアノ、エレクトリックピアノ、オルガン)の2人は、1969年にThe Keysというグループで共に演奏している。The Keysはジャズロックとソウルのクロスオーバーという革新的な演奏をしていたが、2人はもっとプログレッシヴな感性を組み合わせた音楽を作ろうと考えていたという。その時、元Cuby&The Blizzardsというグループにいたハンズ・ウォーターズ(ドラムス)が加わったことをきっかけに、グループ名をソウル風にアレンジしたSoulution(ソウルーション)と改名している。バーラージら3人は演奏の半分をジャズ風の即興にしたいと考えるようになったが、普通の曲を演奏したいと考えていた他のメンバーと分裂することになり、最終的に残ったトム・バーラージ、ウィレム・エンネス、ハンズ・ウォーターズの3人は1970年にSolution(ソリューション)と名を変えている。これは彼らが名前からソウルグループであると誤解されないために変更したという。後にピーター・ヴァン・デル・サンデ(ベース)が加わったことで4人編成となり、彼らはオランダの小さなレーベルであるCatfishと契約することになる。1971年5月に彼らはジョン・シューアズマとジョープ・ヴィッサーの2人をプロデューサーに迎え、ヘームステーデのボヴェマのスタジオで3日間の録音を行い、同年にデビューアルバム『ソリューション』をリリースしている。このアルバムはオランダのジャズシーンで活躍していたスティーブ・ボストン(コンガ、カウベル)が参加しており、フランク・ザッパやソフト・マシーン、さらにはジョン・コルトレーンまで幅広い影響を受けたジャズロックでありながら、フランスの作曲家ジャック・イベールのクラシック曲のアレンジも含まれた意欲作だったという。このアルバムに感銘を受けた多くのレコード会社の中から大手EMI傘下のハーヴェストが接近してきて彼らと契約。この時にベーシストのピーター・ヴァン・デル・サンデが脱退し、代わりにグース・ウィレムセが加入している。セミ・アコースティックのヘフナー・ベースを持つウィレムセの加入は、よりロックな側面をもたらしただけでなく、グループのヴォーカリストとして活躍することになる。彼らはオランダのヘームステーデにあるEMI ボヴェマのスタジオで録音し、1972年に6曲入りのセカンドアルバム『ダイバージェンス』がリリースされる。そのアルバムは3曲のインストゥメンタル曲と3曲のヴォーカル曲で構成された内容になっており、メロディックでリズミカルなピアノと活き活きとしたサックスの存在感に満ちあふれたプログレッシヴジャズの傑作となっている。
★曲目★
01.Second Line(セカンド・ライン)
02.Divergence(ダイバージェンス)
03.Fever(フィーバー)
04.Concentration(集中力)
05.Theme(テーマ)
06.New Dimension(ニュー・ディメンション)
アルバムの1曲目の『セカンド・ライン』は9分に及ぶ大曲であり、ピアノ主導のムーディーな曲であり、グース・ウィレムセのソウルフルなヴォーカルが光った楽曲。前年のデビューアルバムに収録された『Preview』で初めて聴かれたテーマを再現した曲であり、なぜかライオネル・リッチーの『Easy Like Sunday Morning』を思い出させる。後半ではサックスやフルートをフィーチャーしたカンタベリー風のジャズロックとなっており、フュージョン的なオルガンとサックスのユニゾンが素晴らしい。2曲目の『ダイバージェンス』は、曲の一部がフォーカスの『Eluption』にも使われた極上のジャズロック。カンタベリー風のプログレッシヴフュージョンでありながら、サックス主導の甘美なメロディと爆発的なインタープレイが満載である。3曲目の『フォーバー』のイントロは、タンジェリン・ドリームの『Alpha Centauri』を彷彿とさせるミニマルなキーボードから始まり、全体的にサイケデリックまたはスペーシーなパートの多い楽曲。2分あたりから夢のようなフルートのラインと雰囲気のあるエレクトリックピアノを中心としたインストゥルメンタルスペース&フュージョンとなり、フルートはまるでフォーカスのタイス・ヴァン・レールのような響きがある。4曲目の『集中力』は12分を越える大曲であり、バーナージのサックスとエンネスのエレクトリックピアノによる相互作用が繰り広げられた楽曲。2分半からベースが目立ち、続いてブルージーなヴォーカルが入るなど、ポップとソウルの感性を巧みに取り入れた繊細なジャズロックを聴かせてくれる。6分辺りからリズム隊とキーボード主体のスピーディーな展開によるプログレッシヴな曲となり、力強いサックスと不協和音的なピアノのインタープレイが絶品である。5曲目の『テーマ』は非常に短いフルートのイントロとなっており、6曲目の『ニュー・ディメンション』に繋げている。この曲はサックスとフルートのライン、そしてサイケデリックな影響が散りばめられたヴォーカル主導のジャズロックである。ダーティーなオルガンの響きがあるものの、キャッチーなリズミカルなピアノとバックグラウンドで演奏される優しいサックスが特徴的であり、おそらくアルバム内で最も親しみやすい曲となっている。こうしてアルバムを通して聴いてみると、インスト部分は非常に洗練されたジャズロック&フュージョンであるが、ヴォーカル入りの曲は甘美なジャズバラードとなっており、テクニックが必要なジャズロックに傾倒していないことに気が付く。後に彼らがヴォーカル中心のソウルファンクグループとしても生きていける土台があることにこのアルバムで聴き取れる。
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本アルバムはグループの数ある作品群の中でも特に革新的な1枚とされ、デビューアルバムの複雑でありながら反復的な構造を持つインストゥルメンタル曲よりも親しみのある作品として高く評価される。しかし、グループの中心的なメンバーであったトム・バーラージとウィレム・エンネスが兵役義務のために離れ、グループは活動を停止せざるを得なかったという。1975年に2人は兵役義務から復帰し、改めてグループ活動を開始するが、オランダ国内の音楽の風潮は実験的なプログレッシヴ性からより洗練されたフュージョンへと変化しており、ソリューションもその流れに乗ろうと考えたという。同年にリリースした3枚目のアルバム『Cordon Bleu』は、エルトン・ジョンのプロデューサーとして知られるガス・ダッジョンがプロデュースしており、スムースバラードを交えたソウルジャズの方向へと傾倒している。1977年の4枚目のアルバム『Fully Interlocking』もガス・ダッジョンがプロデュースしており、今度はCBSからリリースされたが、ソウルとジャズロックを交互に演奏し、興味深いインストゥルメンタルパートを盛り込んだ作品となっている。その間にディスコが到来し、ソリューションは本格的なファンク・ソウル・グループへと変貌を遂げ、1980年リリースの『It's Only Just Begun』は彼らの最も成功したアルバムの1枚となっている。そのアルバムはプログレの痕跡は残っていないものの、ギタリストに元フォーカスのヤン・アッカーマンが参加したことで話題となった作品でもある。1982年には最後のスタジオアルバムとなった『Runaway』は、トラフィックのジム・カパルディがプロデュースし、ギタリストのハリー・ハードホルトが加わった作品である。ソウルファンクの名作の1枚として評価されたが、今後のグループの音楽の方向性を見失い、翌年の1983年に解散を決めている。彼らはアムステルダムのパラディソで解散ツアーを行い、その模様は1983年にリリースされた『Solution Live』というアルバムとして残っている。解散後、サックス&フルート奏者のトム・バーラージは、プロデューサー兼ミュージシャンとして働き、ジョディーズ・プライベート・ラグジュアリーやニュー・ロンドン・バンドなど、オランダのジャズロックグループに在籍して活躍。キーボード奏者のウィレム・エンネスはバーラージと共にThe MoやTime Banditsなどのプロデューサーを務め、その後Margriet Eshuijs Bandで演奏。また、スタジオミュージシャンとしても活躍し、女優兼歌手のカリン・ブルーメンやアデル・マリア・ハメートデンの劇場ツアーにも参加し、他にもテレビ番組の音楽やミュージカルも手掛けている。また、ドラマーのハンス・ウォーターマンとベーシストのグース・ウィレムセは、その後もセッションミュージシャンとして活躍したという。解散してからソリューションは音沙汰が無かったものの、23年が経った2006年3月にアムステルダムのパナマで2回のコンサートを行うために再結成している。その後も再結成の動きがあったが、2012年にウィレム・エンネスが、残念ながら膵臓癌で亡くなっている。64歳だったという。
皆さんこんにちはそしてこんばんわです。今回は後に時代に合わせてソウルファンクグループに変貌を遂げるオランダのプログレッシヴジャズグループ、ソリューションのセカンドアルバム『ダイバージェンス』を紹介しました。ダイバージェンスとは日本語で「発散」という意味になるそうです。本作を含めてソリューションアルバムは日本のレーベルからリリースされていないこともあってかマイナー扱いにされていますが、自国のオランダでは結構有名なグループで、ジャズロック&ソウルのクロスオーバーという革新的なサウンドは音楽評論家からも高く評価されたと言われています。そんな彼らのデビューアルバムはそのクロスオーバーにクラシカルなキーボードをフィーチャーしたインスト中心のプログレッシヴな内容になっていますが、本アルバムはインスト曲の3曲とヴォーカル曲の3曲という構成になっていて、よりメロディアスで洗練されたジャズロック・アンサンブルを聴かせてくれます。ちなみに2曲目の『ダイバージェンス』の曲の一部は、同郷のフォーカスの1971年のアルバム『フォーカス II(ムーヴィング・ウェイヴス)』に収録されている『Eruption』でも使用されています。このセクションはソリューションのサックス奏者であるトム・バーラージにちなんで「Tommy」と名付けられたそうです。その結果、フォーカスが1970年代初頭に成功を収めたこともあって、オリジナル曲はおそらくソリューションの最も有名な曲の1つとなったと言われています。フォーカスとソリューションの接点について特に記述はありませんでしたが、たぶんライヴやスタジオでメンバー同士の交流があったのかも知れませんね。
さて、そんな本アルバムですが、インスト中心の3曲とヴォーカルのある3曲に分かれており、特にヴォーカル曲はグース・ウィレムセのソウルフルで甘美な歌声に心が洗われます。1曲目はまるでコモドアーズ時代のライオネル・リッチーの『Easy Like Sunday Morning』を彷彿とさせており、非常にムーディーな雰囲気にさせてくれます。それでも後半ではサックスやフルートをフィーチャーしたカンタベリー風のジャズロックとなっており、その優れたアンサンブルから単なるソウルファンク曲で終わらせない彼らの意気込みが感じられます。インスト部分はバーナージのサックスやフルート、エンネスのエレクトリックピアノを中心としたキーボードによるアンサンブルとなっており、元々、ジャズロック界で長く身を置いた彼らだからこそ可能なインタープレイは見事です。サイケデリックな要素があるものの、最後は夢のようなフルートやサックス、そしてピアノのアンサンブルに変化していく流れは、思わずため息が出るくらい美しいです。これだけクオリティの高い作品を持つソリューションが、後に時代に合わせてソウルファンクへと変貌してしまうのは残念ですが、本アルバムは聴くほどに非常に面白いジャズロックだな~と思います。
ソリューションの作品は同郷のスーパーシスターと共にいまだ日本で再発されていないジャズロックの逸品です。知名度はあまりありませんが、フォーカスやスーパーシスターと共に1970年代初頭の革新性のある音楽を生み出した彼らのプログレッシヴなジャズロックをぜひ聴いてみてください。
それではまたっ!


























































