読書の… | たけさんのぶろぐ

読書の…

秋になったから本を読まないと…というわけではありませんが、古本バザーに協力しないといけないということで、処分していい本を渋々選んでおります。


お気に入りの本はわが家の本棚から絶対に離脱させるわけにはいきません。


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平成の私小説作家、西村賢太氏の作品は永久保存です。


軽薄な言葉と虚構ばかりの現代小説の中でキラリと光る骨太な文体。


通俗的な作者の日常を赤裸々に描いているのですが、そこには自身を飾ろうとか、大きく見せようという気負いなどは微塵もなく、ただ地べたを這いずるような一人の弱い人間がいます。


通俗小説、大衆文学は純文学の対義語だとされますが、現実味のない虚構や歯の浮くような理想を語られたところで、どうしても「不純さ」を感じます。


私小説こそ純文学と語られた時代もあるようですが、それを納得させてくれる作品です。


最終学歴が中学校で、戦前の私小説を教科書として育った彼の作品は、「事実は小説より奇なり」を証明しています。