今回取り上げる作品は『高杉さん家のおべんとう』です。

 あらすじは本の裏表紙につづられているので割愛します。

 さて、この作品はまだ2巻までしか出ていません(2010年9月中旬現在)が、私としては早くも続きが気になる作品であります。
 その理由をつづることになるのか、冒頭を作っている段階ではわかりませんが、とりあえず作品の印象などを記していくことにします。

 まず、この作品は、当然といえば当然なのですが、主人公たちの成長が中心に据えられています。
 主人公は高杉温巳(はるみ)で、地理学の博士号を取得しているけれど就職浪人中の31歳。どうしてなおも就職浪人となっているのかというのは作品の随所に触れられているので細かくは割愛しますが、一つは性格が大きくかかわっているようです。そして、その性格がこの作品のコメディー要素の中核となっていたりします。そんな性格になってしまったのには、おそらく高校時代の出来事が関わっているのではないかと思いますが、その辺のことはわかりません。
 そんな温巳の元に突然、一人の女の子がやってきます。中学生になったばかりという久留里という少女です。彼女は温巳のおばの美哉の娘で、美哉は事故死してしまい、未成年後見人という制度により、温巳に引き取られることになったのです(ちなみに、温巳を指定したのは美哉です)。おとなしくてしっかりしているのですが、人付き合いが苦手で、温巳とも途切れ途切れの口調で話をするほどです(それが本来の口調なのかどうかはわかりません)。
 ただ、そんな久留里との出会いが、温巳を大きく(しかし少しずつ)成長させることになったのです。温巳も最初は久留里とどう接すればいいのかが分からず、手さぐりで久留里と付き合っていました。そして、温巳と久留里の初めてのつながり、それが「おべんとう」だったのです。
 温巳を成長させたこのつながりから、二人は少しずつ、家族になっていきます。また、そこには温巳だけでなく、久留里の成長も描かれています。

 次に、さまざまな知識が得られます。
 温巳は地理学の研究をしているということもあり、地理学における物の考え方などが作品の随所に出ています。どういう視点で、どう考えて、またその考察を証明するためには・・・といったことが挙げられます(内容は割愛します)。
 同時に、大学の制度(教授、准教授、助教などのほかに、特別研究員がどういうものであるのかなども紹介されています)や未成年後見人の制度の説明なんかもあります。大学の場合なんかは、院に進まない限りほとんどの人にとっては無縁な話もあり、大学を出た私でも初めて知ることがありました(単に無知だっただけ?)。むろん、未成年後見人のこともやはり無縁ということもあって、よくわかりません。その辺の紹介もあり、勉強になります。
 そして、勉強になるといえば、お弁当です。料理の簡単なレシピにおける弁当にする上での注意点なんかが随所に出ています。弁当を作るときには結構重宝するかもしれません。

 さらに、物語の展開における要素がたくさんあるという点も見逃せません。
 複雑に交錯する思い。これなんかは多くの人が興味をそそられ、楽しめ、そして先が気になるのではないかと思います。
 もちろん、コメディーもあります。おもに温巳の空回りっぷりが中心ですが、どんな顛末なのかは実際に作品をご覧いただくことにします。

 とまあ、内容盛りだくさんなところが、続きが気になる理由なのです。まだ2巻までしか刊行されていませんが、読了感は大きかったです。まるで長編大作を読み終えたような・・・と、それは言い過ぎかもしれませんが、そんな錯覚さえも覚えたということです。
 本屋の棚に平積みされているのを見かけてまだ1週間も経っていません(記事制作時点)が、早く第3巻を読みたいところです。

 というわけで、今回は『高杉さん家のおべんとう』を取り上げましたが、興味をもたれた方は是非一読を。