さて、「ほのぼのシリーズ」は今回が最後ですが、取り上げる作品は『わんでい!』です。

 これ、ここで取り上げるものとしては少し特殊な作品です。というのも、いわゆる同人誌だからです。

 そもそも私は、同人誌のイメージとして、一つは「昔の作家が寄稿していた雑誌」、もう一つは「東京のどこかでかい会場で売られているエロいもの」の二つを抱いていました、特に、最近聞く同人誌のイメージは後者の方が強く、人混みが嫌いな私はその手の会場に行くことはないということと、エロ物にあまり興味がないという二点から、私には無縁のものだと思っていました。
 しかし、いろいろな作家が同人誌を作っているというのを、以前テレビで見たり、ある漫画のあとがきに書かれているのを読んだりして知り、やや興味を持ち始めていました。たとえば、島本和彦さんや、『…色素薄子さん』の水月とーこさんがそうです。特に、『…色素薄子さん』が同人誌からの作品だと知った時には、今連載されているものとどう違うのかなどに興味を抱き、いろいろと調べたのです。
 その時に、ひときわ目を引く作品がありました。それが、『わんでい!』だったのです。
 今は大変便利になっていて、わざわざ人混みの中に行かなくても、同人誌を手に入れることができます。店に入るには多少の勇気が要りますが……。さておき。同人誌を扱うお店のホームページの中には、内容の一部を画像として見ることができ、そこで『わんでい!』の内容を見たのです。それがまた思いのほか興味が惹かれて…。
 さらに調べていくうちに、著作権的に問題ないのかどうかはわかりませんが(おそらく大ありだと思いますが・・・)、『わんでい!』の内容を画像として見ることができ、それで内容を読んでいくうちに、すっかりはまってしまい、気がつくと、その手の店で扱われている総集編を探していたわけです。

 さて、ここでは基本的に、いわゆる成人向け漫画は取り上げません。したがって、『わんでい!』も成人向けではありません。…まあ、若干グレーゾーンはあります(と言っても、この作品以上に性的描写が多くて、かつ年齢制限のかかっていない作品は多々あります)が、基本的には日常のほのぼのした話や騒動などが描かれています。
 原作は、角川書店から漫画が出ている『フェイト・ステイナイト』です。…これだって、私は最初に漫画で知ったので、まさか成人向けゲームだとは思ってもみなかったわけです。さておき。『わんでい!』はその続編を中心に扱っているようです。…漫画の『フェイト』ではにらみ合っている人たちが、『わんでい!』ではいがみ合いながらも仲がいいですから。
 そして何より、あまり深く考えずに作品を読むことができます。本のサイズがやや大きいのですが、ちょっとした息抜きに読むのにも向いているのではないかと思います。どたばたもあり、面白いですから。

 さて、話が変わりますが、人を選ぶ内容のものはいざ知らず、同人誌ももっと注目すべきなのかもしれません。というのも、たとえば同人誌から活動を始めて、今では月刊誌に連載を持つ人もいますし、商業誌ではできなくても、同人誌なら思う存分自分の描きたいものを描けるということで、商業と同人の両方で活動する人もいます。
 また、今でこそ同人誌というと漫画を指していますが、かつては小説のものでした。私もあまり詳しいわけではありませんが、著名な作家の中には、はじめは同人誌に寄稿することから始めて、のちに文学の賞を受賞して…という過程を踏んでいる人もいるようです。そうなると、同人誌というのは、一種の登竜門であるとともに、作家の憩いの場でもあるのかもしれません。そんな中には当然、光るものも存在するわけです。
 だとしたら、制限がつくものなどは難しいですが、制限のつかない、誰が読んでも差し支えない同人誌においては、もっと市場に出回ってもいいのではないかと思います。それと、内容がもっとわかるようにすべきかもしれません。マンガ雑誌に掲載されたものをまとめた単行本ならともかく、そうではない同人誌の場合、どんな内容なのかが基本的にはわかりません。立ち読みできればともかく、表紙だけでいきなり買うには、かなりの勇気が要ります(普通のマンガの単行本と比べて、結構高いものもあるからです)。

 ということで、今回は同人誌云々の話に大きく偏ってしまいましたが、『わんでい!』、基本的には日常に起こりうる面白い話(いきなりバーテンになったりするのが日常にありうるかどうかはわかりませんが…)がメインとなっているので、あまり神経質にならなければ問題なく読むことができると思います。興味をもたれた方で予算に余裕のある方、その手のお店に入るのにあまり抵抗がない方は、是非とは言いませんが、一読してみてはいかがでしょうか。