今回取り上げる本は、精神科医である大平健さんの『診察室に来た赤ずきん』という文庫です。新潮社から平成16年に発行されたこの本は、あとがきによると、『看護技術』という雑誌で連載された話と、四編の書き下ろしで構成されています。平成6年に早川書房から刊行された本の文庫版です。
内容は、病院にやってくる心に悩みを抱えた患者に、大平さんが昔話や童話を使って、解決への道を提案します。患者の置かれた状況に最も近い昔話や童話を話し、それらの解釈を提示し、どのように問題解決に取り組むべきかを、押し付けるのではなく、あくまで提案するのです。
作品中で使われている童話や昔話は、『ねむりひめ』、『三ねんねたろう』、『三びきのこぶた』、『食わず女房』などです。患者の境遇と物語の内容がうまい具合に揃っていて、「こういった解決法もあるのか」と考えることができます。昔話などの簡単なあらすじも載せられていて、「この問題は、昔話のこの部分においては、こういった状況とそっくりで、話ではこんな流れになっていて、とするとこうしたことをすればいいのでは?」といった具合の説明をされても、その昔話を知らなかったとしても納得することができます。
また、エピソードの中には、患者のその後が書かれているものもあります。他にも、エピソードを通じての考察で締められていることもあります。そして、まえがきにも記されているのですが、「患者を癒すために話す昔話で、精神科医も癒されている」ということですが、患者が悩みを解決し、再び立ち上がることを通じて・・・ということでしょうか。
患者に昔話や童話を話すとき、ただ単に物語を話すというのではなく、話を使って患者の置かれた状況を例えることもしています。あくまで、患者に話す昔話などは、読み聞かせではなく、問題や悩みを解決するための道具だからです。
私はこの本を、ただ何となく本屋で手にとって、何となく読んでみようと思い、それから何となく読み進めたのですが、改めて(全てではありませんが)読んでみると、(おそらく最初に読んだときも同じ事を考えたとは思いますが)なかなか面白いものです。というのも、まず精神科医の印象を変えたからです。
精神科医というと、自制心のない患者やおよそ常人には考えが及ばないような行動を起こす患者などを相手にし、最新の医療機器を使って患者の精神異常などを把握しながら徐々に社会活動ができるような精神状態に戻していく仕事をしている人という印象を持っていました。ですが、日常の問題に起因する精神の疲労などを、昔話などを使って解決する太平さんのような精神科医もいるのです。難しい用語などではなく、なじみのある昔話で状況を説明し、解決のためのヒントを与えてくれる、そんな精神科医も世の中にはいるのです。
他にも、昔話の有効性を改めて感じさせました。環境問題などに取り組む環境教育に昔話を用いている大学教授もいます。私はこの教授から昔話を環境の色眼鏡で捉えるという取り組みを聞いたときも、昔話の新たな可能性を感じたのですが、改めてこの本を読んだとき、昔話や童話には様々な使い道があることに気付きました。特に、昔話は子供の頃に読み聞かされた人が多く、そうでない人も何らかの形で昔話を聞いたことがあるはずで、どなたにもなじみのあるものです。単純明快なだけに、様々な捉え方ができ、それが環境分野、精神医療分野、他にも政治や経済、福祉などの社会分野などにも応用ができます。
こうした応用に、漫画を使うという方法もありますが、こういった漫画も、多くは昔話をベースに、少し枝を付け加えたりしているものであったりするので、漫画を使うよりも、昔話や童話などを用いたほうがより効果的かもしれません。
昔話を精神医療に用いるという画期的な(今ではどうだかわかりません)取り組みをした精神科医のお話として読むのもよし、またこの本を読むことで自己に内在する問題や悩みを解決する方法を模索することもよし。とにかく読んで後悔することは、おそらくないと思います。興味を持った方は、ぜひ一読を。
内容は、病院にやってくる心に悩みを抱えた患者に、大平さんが昔話や童話を使って、解決への道を提案します。患者の置かれた状況に最も近い昔話や童話を話し、それらの解釈を提示し、どのように問題解決に取り組むべきかを、押し付けるのではなく、あくまで提案するのです。
作品中で使われている童話や昔話は、『ねむりひめ』、『三ねんねたろう』、『三びきのこぶた』、『食わず女房』などです。患者の境遇と物語の内容がうまい具合に揃っていて、「こういった解決法もあるのか」と考えることができます。昔話などの簡単なあらすじも載せられていて、「この問題は、昔話のこの部分においては、こういった状況とそっくりで、話ではこんな流れになっていて、とするとこうしたことをすればいいのでは?」といった具合の説明をされても、その昔話を知らなかったとしても納得することができます。
また、エピソードの中には、患者のその後が書かれているものもあります。他にも、エピソードを通じての考察で締められていることもあります。そして、まえがきにも記されているのですが、「患者を癒すために話す昔話で、精神科医も癒されている」ということですが、患者が悩みを解決し、再び立ち上がることを通じて・・・ということでしょうか。
患者に昔話や童話を話すとき、ただ単に物語を話すというのではなく、話を使って患者の置かれた状況を例えることもしています。あくまで、患者に話す昔話などは、読み聞かせではなく、問題や悩みを解決するための道具だからです。
私はこの本を、ただ何となく本屋で手にとって、何となく読んでみようと思い、それから何となく読み進めたのですが、改めて(全てではありませんが)読んでみると、(おそらく最初に読んだときも同じ事を考えたとは思いますが)なかなか面白いものです。というのも、まず精神科医の印象を変えたからです。
精神科医というと、自制心のない患者やおよそ常人には考えが及ばないような行動を起こす患者などを相手にし、最新の医療機器を使って患者の精神異常などを把握しながら徐々に社会活動ができるような精神状態に戻していく仕事をしている人という印象を持っていました。ですが、日常の問題に起因する精神の疲労などを、昔話などを使って解決する太平さんのような精神科医もいるのです。難しい用語などではなく、なじみのある昔話で状況を説明し、解決のためのヒントを与えてくれる、そんな精神科医も世の中にはいるのです。
他にも、昔話の有効性を改めて感じさせました。環境問題などに取り組む環境教育に昔話を用いている大学教授もいます。私はこの教授から昔話を環境の色眼鏡で捉えるという取り組みを聞いたときも、昔話の新たな可能性を感じたのですが、改めてこの本を読んだとき、昔話や童話には様々な使い道があることに気付きました。特に、昔話は子供の頃に読み聞かされた人が多く、そうでない人も何らかの形で昔話を聞いたことがあるはずで、どなたにもなじみのあるものです。単純明快なだけに、様々な捉え方ができ、それが環境分野、精神医療分野、他にも政治や経済、福祉などの社会分野などにも応用ができます。
こうした応用に、漫画を使うという方法もありますが、こういった漫画も、多くは昔話をベースに、少し枝を付け加えたりしているものであったりするので、漫画を使うよりも、昔話や童話などを用いたほうがより効果的かもしれません。
昔話を精神医療に用いるという画期的な(今ではどうだかわかりません)取り組みをした精神科医のお話として読むのもよし、またこの本を読むことで自己に内在する問題や悩みを解決する方法を模索することもよし。とにかく読んで後悔することは、おそらくないと思います。興味を持った方は、ぜひ一読を。