今回取り上げる作品は、『機体消失』という、昨年冬に亡くなった内田幹樹さんの作品です。内田さんはジャンボジェット機「ボーイング747-400」の機長として、国内線、国際線に乗務していました。その経験から、『機長からアナウンス』というエッセイも執筆しています。このエッセイは2冊出ています。航空業界の裏話も書かれていて、専門的な話もありますが、航空業界についての知識が全くない私でも楽しむことができました。その流れから、小説も読むようになったのですが、冒頭にも記したように、残念ながら昨年冬に亡くなってしまいました。私は一連の作品を新潮社の文庫版で読んでいるのですが、まだ文庫化されていない作品もあるようなので、それらの早期文庫化を願いつつ、『機体消失』を取り上げたいと思います。
まずは大まかな内容です。
冒頭は台湾が舞台。台湾のとある牧場ではある計画が着々と進められていた。大量のコカインを日本へ密輸するというものだ。台風を利用して小型機で密輸するという、普通では考えられない方法で行なうという。そして、それを実行に移したとき、小型機を操縦するパイロットを怪しんだ組織の人間は、パイロットの恋人を人質に。
時は遡り、舞台が東京に変わる。事故のショックで飛行業務から外れている副操縦士がそこにはいた。沖縄の訓練所から来ていた教官との話の末、休養の一環で教官がいる沖縄の下地島に行くことに決める。その後、副操縦士が遭遇した事故で負傷していた客室乗務員の女性と会う。
沖縄下地島で副操縦士は教官夫妻の家に滞在することに。そんな最中、台風がやってくる。同じ頃、組織はコカインを日本に密輸するため、台風の中を低空飛行していた、パイロットの恋人を人質に取りながら。実はこのとき、小型機は何らかの問題を起こしていた。組織の1人に小型機とのやり取りを録音したテープを聞かせているという場面でそれがわかる。結局コカインは見つからなかったが、情報を整理すると、下地島が怪しいということになった。
その頃、副操縦士は1人の女に会う。東京で会った客室乗務員の女性だ。そして、人質だった小型機のパイロットの恋人だ。その後、教官夫妻の元に副操縦士と同様に客室乗務員の女性も滞在することに。しかし、そこに忍び寄る黒い影が…。
最後までは記しません。また、上に記した内容も、わかりづらいものでしょう。興味が湧いたら一読を。
私なりにこの本の特徴を記すと、まず最も目立つ点が、航空業界の専門用語とでも言いましょうか、日常生活ではなかなか聞く機会がない言葉がよく出るというものです。世の中には様々な、いわゆる業界用語というものがありますが、この本には航空業界の用語がいくつも見られます。ですから、飛行機などの航空業界に興味がある方でも楽しめるのではないのでしょうか。対する私は、航空業界には疎いのですが、その言葉がどういったことを表すのかが示されているので、わけもわからず読み進めるといったことはありませんでした。つまり、読む気持ちがあれば誰でも楽しめるということです。この点は少なくとも私にはうれしい配慮でした。他にも、航空設備以外にも、自衛隊や米軍、気象関係の設備などにも説明が付されています。また、途中の内容で、教官と副操縦士がちょっとした推理を行なっています。何故、一瞬とはいえ、台風の最中レーダー上に飛行機の存在が確認されたのか。飛行機は何故突然姿を消したのかといった謎に対する推理をしているのです。前述の通り、航空業界に関わっていない人や、興味がない人のために、専門的なものに対する説明が付けられているので、これを参考に読者である我々も推理をすることができるかもしれません。
専門的な知識を必要としない範囲での感想としては、まず登場人物があまり多くないため、読みやすかったです。あまり登場人物が多すぎると、読んでいるうちに登場人物の性格や役職などの特徴を忘れてしまい、混乱に陥ってしまいます。実は、この作品の前に読んだ『そして誰もいなくなった』のときでさえ、登場人物で混乱しました。日本人でなかったということもあるのかもしれませんし、洋画など外国の作品が氾濫しているとはいえ、滅多に洋画を見ない(しかも見るものは大抵アメリカの映画)私にとっては見慣れない名前ばかりであったためかもしれません。こうしたこともあるため、登場人物が最小限に抑えられている(『そして誰もいなくなった』も最小限に登場人物が抑えられているのですが…)ことはよかったと思います。
内容については、骨組みがしっかりされていて、読んでいるうちに「なぜそうなるのか?」とか、「この流れは納得いかない」といったことはありませんでした。もっとも、こんな稚拙な文を書いている人間に評価されても、毒にも薬にもなりませんが。著者の内田さんは多才の持ち主であったのかもしれません。今も生きていればもっと内田さんの本が読めていたはずだと思うと、残念に思います。
まずは大まかな内容です。
冒頭は台湾が舞台。台湾のとある牧場ではある計画が着々と進められていた。大量のコカインを日本へ密輸するというものだ。台風を利用して小型機で密輸するという、普通では考えられない方法で行なうという。そして、それを実行に移したとき、小型機を操縦するパイロットを怪しんだ組織の人間は、パイロットの恋人を人質に。
時は遡り、舞台が東京に変わる。事故のショックで飛行業務から外れている副操縦士がそこにはいた。沖縄の訓練所から来ていた教官との話の末、休養の一環で教官がいる沖縄の下地島に行くことに決める。その後、副操縦士が遭遇した事故で負傷していた客室乗務員の女性と会う。
沖縄下地島で副操縦士は教官夫妻の家に滞在することに。そんな最中、台風がやってくる。同じ頃、組織はコカインを日本に密輸するため、台風の中を低空飛行していた、パイロットの恋人を人質に取りながら。実はこのとき、小型機は何らかの問題を起こしていた。組織の1人に小型機とのやり取りを録音したテープを聞かせているという場面でそれがわかる。結局コカインは見つからなかったが、情報を整理すると、下地島が怪しいということになった。
その頃、副操縦士は1人の女に会う。東京で会った客室乗務員の女性だ。そして、人質だった小型機のパイロットの恋人だ。その後、教官夫妻の元に副操縦士と同様に客室乗務員の女性も滞在することに。しかし、そこに忍び寄る黒い影が…。
最後までは記しません。また、上に記した内容も、わかりづらいものでしょう。興味が湧いたら一読を。
私なりにこの本の特徴を記すと、まず最も目立つ点が、航空業界の専門用語とでも言いましょうか、日常生活ではなかなか聞く機会がない言葉がよく出るというものです。世の中には様々な、いわゆる業界用語というものがありますが、この本には航空業界の用語がいくつも見られます。ですから、飛行機などの航空業界に興味がある方でも楽しめるのではないのでしょうか。対する私は、航空業界には疎いのですが、その言葉がどういったことを表すのかが示されているので、わけもわからず読み進めるといったことはありませんでした。つまり、読む気持ちがあれば誰でも楽しめるということです。この点は少なくとも私にはうれしい配慮でした。他にも、航空設備以外にも、自衛隊や米軍、気象関係の設備などにも説明が付されています。また、途中の内容で、教官と副操縦士がちょっとした推理を行なっています。何故、一瞬とはいえ、台風の最中レーダー上に飛行機の存在が確認されたのか。飛行機は何故突然姿を消したのかといった謎に対する推理をしているのです。前述の通り、航空業界に関わっていない人や、興味がない人のために、専門的なものに対する説明が付けられているので、これを参考に読者である我々も推理をすることができるかもしれません。
専門的な知識を必要としない範囲での感想としては、まず登場人物があまり多くないため、読みやすかったです。あまり登場人物が多すぎると、読んでいるうちに登場人物の性格や役職などの特徴を忘れてしまい、混乱に陥ってしまいます。実は、この作品の前に読んだ『そして誰もいなくなった』のときでさえ、登場人物で混乱しました。日本人でなかったということもあるのかもしれませんし、洋画など外国の作品が氾濫しているとはいえ、滅多に洋画を見ない(しかも見るものは大抵アメリカの映画)私にとっては見慣れない名前ばかりであったためかもしれません。こうしたこともあるため、登場人物が最小限に抑えられている(『そして誰もいなくなった』も最小限に登場人物が抑えられているのですが…)ことはよかったと思います。
内容については、骨組みがしっかりされていて、読んでいるうちに「なぜそうなるのか?」とか、「この流れは納得いかない」といったことはありませんでした。もっとも、こんな稚拙な文を書いている人間に評価されても、毒にも薬にもなりませんが。著者の内田さんは多才の持ち主であったのかもしれません。今も生きていればもっと内田さんの本が読めていたはずだと思うと、残念に思います。