僕には二つ上の姉がいる。

昔から仲が良く、ケンカらしいケンカは一度もした事がない。かと言って、何でも言い合えるようなざっくばらんな仲でもない。

姉は中学生の時生徒会長をやっていて、同じ中学に通う僕は会長の弟として扱われた。
まあこれといって贔屓も優遇もされてないが、二個上の先輩から優しくしてもらえたぐらいだろうか。

しっかり者の姉と、フラフラしてる弟、という具合だ。

僕は16歳の時グレかけ、17歳になる前には落ち着いた。その約一年間、同じ家に住んでるにも関わらず、僕は姉と一言も喋らなかった。グレかけ期間が終わり、約一年ぶりに姉に話かけた時、

「あれ、もう大丈夫なの?久しぶりだね喋るの」

と言われた。
姉は変な人だが、別にすごい人というわけでもない。ただ底抜けに優しい人だ。
小学生の頃、おばあちゃんがクリスマスプレゼントに何か買ってあげると言うので、僕と姉とおばあちゃんの三人で出かけた。
僕は欲しいファミコンのソフトを選んだが、姉は何が欲しいかわからなくて困ってる様子だった。
そうこうしてるうちに、僕は別のファミコンのソフトも欲しくなってしまった。どっちにしようか迷ってる僕を見て姉が、

「じゃあ、私に買うプレゼントの分で、仁に二つ買ってあげて」

と言った。
当時は「ラッキー!」ぐらいしか思わなかったが、これって相当な事だと思う。確か僕は小学校一年で、姉は三年だった。
この年頃の子がプレゼントの権利を譲るなんて、普通ありえない事だ。

姉のプレゼントの権利で買ったソフトは「聖飢魔IIの逆襲」というクソゲーだった。
今思えば、本当に姉には申し訳ない事をした。
このソフトの代金を今からでも返したいぐらいだ。本当にデーモン小暮が悪魔だと思った。

でもしかし、姉が専門学校に通ってる時、親が学費が払えないというので僕が代わりに払ったのを考えたら、まあトントンというか、逆に払いすぎぐらい払っている。

とにかく僕は姉と仲が良いし、姉のためなら何でも出来ると思う。


姉もとにかく猫好きだった。