一昨日ぐらいから、うちのキッチンに新しいメンバーが加わった。

「オレ、ワルです!これから夜露死苦!!」と書いた看板を掲げて、キッチンに乗り込んできた。

名前は浜口くん(18)。

若い。

挨拶は意外にも丁寧で、きっちりとしていた。

挨拶だけなら、こいついい奴だな、と思っていた。

が、料理長に頼まれて、ロッカーの場所を案内している時だ。

「オレ、タバコは1日1箱半は吸わないとやっていけないんすよぉ。」

ん?

「さっき、ホールの奴がオレにガンたれてきてましたよぉ。ちッ!」

んん?!

いかにも、「悪そうでしょ、オレ」発言をいちいち報告してくれていた。

何も聞いていないのに。

「お前とは上手くやっていけそうにねぇよ!夜露死苦!!」と私は心で叫んでいたが、口では「ふーん。へぇー。」とか言っていた。

そうこうしている内に、ロッカーに着き、「ここで着替えて。」と指示をし、彼が着替えるのを待った。

私は携帯をいじって待っていたので、どれくらい待ったのかは分からないが、なかなか着替え終わらないので、彼の方を見た。

すると、彼は額の血管を浮かべ、必死な顔で、こちらの方を見ていた。

「どーしたん?!」

「先輩!ズボンが履けません!!」

どうやら、自前のお肉が邪魔して、ズボンが履けなかったらしい。

確かに、コックコートのズボンがスキニーみたいにピチピチになっていた。

「なんとか履いて、上でサイズ大きいの探そ。」

「すみません!動けません!!」

動けないぐらいに。

仕方がないので、私服にもう一度着替えてもらって、新しいズボンを取りに行った。

さっきまでの悪ぶりが台無しだった。

むしろ愛嬌さえ出てくる。

私は一人で可笑しくなっていた。

しかし、そんな彼も不良の端くれ。

その日のまかないの時にも下さんの前で、同じような態度をとっていたらしい。

まぁ、そんな若い彼には、これからもこのキッチンで頑張ってほしいと思った。