さてさて、クレアに続いて今回のもう一人の主役・片羽根の孤蝶さんです

孤蝶の名前は、ときどき「胡蝶じゃないんだね」とご指摘をいただいたりするのですケド、コレはコレで間違いではないのです

おっきめの辞書などで調べると、孤蝶とは「つれあいを失くした一匹の蝶」と載ってたりしますょ

蝶々の飛ぶ様などを思い返してみると、確かによくカップルでヒラヒラと舞い飛んでたりしますよね

「ワタシタチ、ただいまシアワセの真っ只中を最高潮で満喫してマス」ってゆうカンジで、自分が独り身だったりすると妙にジェラシーを覚えてしまったりします (ワタシダケデスカ…)

きっと古人たちにとって、蝶々という生物はつがいであるコトが前提だったのでしょうね

だからわざわざ、孤蝶というコトバがあえて作られているのでしょう



二つ名の、アタマの方にある「片羽根の」というのは、中国の神獣・比翼鳥からいただきました

比翼鳥とは、中国最古の地理誌「山海経」などで紹介されている神獣で、つがいの鳥の名前なんですケド、雌雄のそれぞれが片側ずつしか翼と目をもっていないのだそうです

天空を飛翔するときは雌雄の身体が一体になり、どこまでも飛んでゆくのだそうです

ソコから「男女の結びつきや絆のきわめて強いコト」の象徴として、「比翼の契り」とか「比翼連理」なんてゆうコトバが生まれたりします

ちなみに「連理」ってゆうのは、東晋の時代に中国で著された「捜神記」ってゆう説話集の中に出てくる空想上の樹の名前のコト

ある夫婦の墓に生えた相思樹の名前で、2本の木が地下では根が交わり地上では枝が交わりあって、合体して一本の樹になっているのだそうです

この説話から、「比翼の契り」と対になる「連理の枝」というコトバが生じました

学生時代にうわの空で聞いていたそんなウンチク話から、一羽では決して空を飛翔できない比翼鳥の片割れという意味の「片羽根の孤蝶」は生まれました

じっさい、殺陣という職は、競演してくれる誰かがいて初めてその特色が最大限に活きる特化ですから、名付け親としても「片羽根の孤蝶」という二つ名はとても気に入っています



破天の章で傾奇という職が実装されて以降、現状までほぼ一貫して殺陣は使いづらい職となっています

2アカで操作しないと、まずしくじりますよね

前回の技能調整では、回復連携に乗りさえすれば解呪+詠唱にはなりましたケド、もうひとつ決め手に欠けます

単独では呪詛を払えない・付与できない・守護抜けがないというのがおっきいかなぁ

軍学は、以逸待労の計を手にしたコトで標的度を沈黙に直結させる手段を得ました

このおかげで、盾しつつ沈黙も両立しやすくなりました

同様に殺陣は、知力付与しないとボス戦ではどうにもならないのが現状なのですから、知力の値を技能に反映させる修正があればもっと使いでのある職に化ける気がします

まして、最低でも二人で技能を放つのに、「二人分になるかならないか程度の効果しか望めない」+「しくじれば二人分の手を同時に失う」のでは、ボス戦では腰が引けちゃいますもんね

そんなワケで、現状の孤蝶はいまひとつ今後の方向性を見出せぬまま、狩りのお供になってしまっています

これまでの技能が、白刃双破や灼光みたいな後乗りの連携に置き換わるだけでも、ずいぶん変わると思うんだケドなぁ…

今後に期待しつつ、更なる育成に励みまするょ;;



さてさて、本記事の締めは唐の詩人・白居易が詠んだ七言古詩・長恨歌の一節

この長恨歌の最終段にも比翼連理が詠われています

以下、左が原文 右が書き下し文です


詞中在誓兩心知 (詞中に誓い在り二つのこころぞ知る)

七月七日長生殿 (七月七日長生殿)

夜半無人私語時 (夜半人無く私語せし時)

在天願作比翼鳥 (天に在りては願はくは比翼の鳥となり)

在地願爲連理枝 (地に在りては願はくは連理の枝とならんと)


訳はこんなカンジ↓です

「二人だけが知っている誓いの言葉があります」

「それは七月七日の深夜、辺りに誰もいない時、長正殿で二人が交わした睦言」

「私たち二人が、天にあっては比翼の鳥となり、地にあっては連理の枝となれますように」

「今も、次の世でも、次の次の世でも、たとえドコに在ろうと、共にひとつでありますようにと、わたしたちは誓い合ったのです」


「七月七日長正殿…」のあたりのくだりは、何度声に出して読み下しても切ない響きを醸し出すトコロですね

七夕のあの夜、二人で交わした睦言は「ずっといっしょにいようね…」

1200年前も現代も、恋した二人が交わす睦言は変わるコトなく、そして多くの場合、その誓いが守られたコトはない


不本意に別たれてしまった恋しあう二人が、いつか再び巡り逢える時が来ますように



<サンボマスター:ラブソング>

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