母は、6年前から4回の入退院、内2回の手術を経験している。
先生が嫌いだとか、こんな不味いご飯をよく皆は食べるよね・・・とか、
そんな言わないで良い事をついつい口に出してしまうような母であった。
私は、ナースステーションの前で、体温を測り消毒をして母の病室へ案内された。
そんな面倒くさい母が、そこに居ると思ってたの。
母は、4人部屋の入り口側のベッドの上に居た。
でもね、
そこに私が想像していた母の姿は無かった。
母は、おとなしいかわいらしい表情で、腕には点滴お針が刺され、その周りは大きく紫で
・・・・・・・・・・・・・・・・・痛々しく小さく横になっていた。
突然涙が溢れてきた。
泣いてる私に看護師さんは、
「少しの時間だけ、距離を取ってお願いします。」と言って
その場から居なくなってくれたの。
「おかあさん?!」という私の声掛けに、
母は私の見て、
「○○○ちゃん?○○○ちゃん、
かわいいぃ、○○○ちゃんでしょ、うれしいなぁ、
うれしいなぁ、 ○○○ちゃん、かわいいぃ」と、私の名を繰り返す。
私は、それを聞いて益々涙がとまらなくなってしまった。
看護師さんにさんに「距離をとって・・・」と言われても、
離れていたら、手も握れない・・・・1歩また1歩近づき、母の手を握った。
母の手を握るなんて、何年ぶりだろう・・・細い指だった。
「○○○ちゃん、かわいいぃ、うれしいなぁ・・・」
母は、まだ続ける
涙はどんどん溢れて止まらない・・・
それに、母の言葉は、この歳の私には少し恥ずかしかった。
母はには、幼い頃の私が見えているのだろうか・・・・
母はまだ痴ほうにはなっていないと思っていたが、
あまりの強い痛みがそうさせてしまったのかもしれないと思った。
手を離すと、
「もう少し居てぇ」と言う。
少しすると、また「もう少し居てぇ」と。
かれこれ30分近く、涙が止まらない。。。 もうマスクの中はグチャグチャだ。
でも、コロナの真っただ中であり、仕事の途中を抜けてきた。
まだ、居たいと思ったけど。。。
「また、来るね」と言って、私は、母の病室を離れた。
母は、壊れてしまったのだろうか。。。
「延命治療をどうしますか?」の、先生からの言葉を思い出す。