ホールへ入るともう列が出来ていて、私達は一旦下の階に降りて並ぶように促されました。

 

会場の中に人を入れていくにつれてまた上の階へ移動。

 

私達はまだ良いものの足の悪い方は下ったり上ったりが大変だったことでしょう。

 

 

 

 

ともあれ席に着き、もう1人のお友達とも再会。

 

3階まである会場のためか天井が高く

 

緞帳も他の会場より随分縦長の印象でした。

 

 

いよいよ開幕。

 

 

緞帳が上がると爽やかな白の単に黒の兵児帯、素足に下駄の舟木さん。

 

いつもながら舟木さんの着流しの立ち姿には

 

まるで『夕笛』の書生姿を彷彿とさせるような

 

何とも言えない懐かしさと爽やかな色気が漂います。

 

 

今回は1週間前に大阪のふれコンがあり関西の友人達から曲名は教えて頂いていたので

 

安心してコンサートに没頭することができました。

 

久し振りに聞いた『都井岬旅情』

 

舟木さんの声量豊かな伸びのある歌声に惹き込まれ

 

都井岬に行ったことはないけれど、壮大な草原の光景が眼の前に広がり
 
潮騒や野生の馬の嘶きが聞こえるような錯覚に陥りました。
 
 
歌い終わってご挨拶された舟木さん。
 
蒸し暑かったこの日。
 
湿度が90%くらいあるんじゃないかと仰っていましたが
 
湿度に極端に弱い私も本当にそう思うほどでした。
 
各地で数々の劇場や施設が建て替えの時期を迎え
 
今回から新しい会場になったことにもふれられ
 
でも、楽屋は前よりも綺麗になったと冗談めかして仰ってました。
 
次に歌われた
 
『帰郷』も大好きな曲です。

2019年のふれコンの折にも歌われた
 
『一葉舟』『白鳥』
 

 

 

 

 

この二つの壮大な抒情歌をまた聞きたいという願いも叶いました(*^^*)

 

『白鳥』の歌詞は

 

 

 

牧水の

 

“白鳥は哀しからずや海の青 空の青にあをも染まずただよふ“

 

を彷彿とさせます。

 

 

次に、「これぞ船村演歌という歌を2曲」と前置きして歌われたのは

 

『津和野川』『春哀し』

 

歌い終わられてから

 

「これは言葉が強いから若い時はどうも(心が?)届かなかった。」

 

という主旨のことを仰っていました。

 

以前、やはり『津和野川』はお好きではないと言われたことがありましたが

 

旋律はともかく、歌詞の内容は道ならぬ恋の歌。

 

特に『津和野川』には♪君は人妻〜♪と直截的な言葉が出てくるので

 

「品がなくて好きではない」と仰ったのには

 

私も創作とはいえ、この歌を聞いた時の何とも言えない

 

ざわざわした違和感を思い出して納得したものでした。

 

ただ歌とは関係なく津和野という土地には憧れもあり 

 

機会があれば一度は訪れてみたい所です。

 

 

一方『春哀し』には直截的な言葉は出てこないものの

 

歌詞の内容から道ならぬ恋を歌っていることは明らか。

 

でも『春哀し』を聞くと必ず船村徹先生ご自身が書かれたこの文章を思い出します。

 

 

まるで一編の小説を読み終えたかのような思いにさえなる

 

『鎌倉山の夜』と題したこの文章は

 

舟木さんの十五周年リサイタル『限りない青春の季節』のパンフレットへの寄稿文。

 

 
 
私にしては珍しく古いチケットを残してありました。
 

 
チケットの後ろには会場までの地図が。 
 

 
これを見ると当時は電車の路線も少なく会場へ行くのも楽だったなと思い出します。
 
「郵便貯金ホール」は後の「メルパルクホール」
 

それももう無くなってしまったことを思うと

 

今更ながら時の流れを実感します。

 

ともあれ、船村先生のこの歌に託した想いの深さがいかばかりだったか

 

舟木さんの歌う抒情歌の世界にどれほどの信頼を寄せられていたのかがひしひしと伝わってくる文章です。

 

そして、先生がご自身の作られた歌の中で

 

舟木さんの歌う『夕笛』が一番好きだと仰ったことが

 

改めて腑に落ちる思いがするのです。

 

 

流行歌なんてものは40過ぎないとその良さはわからないというようなことを

 

昔言われたけれど本当にその通りだと仰っていました。

 

昔の40は今で言えば50くらいか、とも。

 

歌詞はともかく私には2曲とも好みの旋律だったのは


やはり船村先生の曲だったからでしょう。

 
 
コンサートからは少し横道にそれますが

 

同じパンフレットに掲載されていた演出家の牧野敦さんの寄稿文。

 

 
 

“舟木さんは日本の歌手には珍しく「情」の他に「知」を持っている人です。

その彼が15年の経験をもって言う言葉には智恵の重さがあります。

また15年にしてこれだけ自由な発想を持ちうる思考の柔軟性にも敬服するところです。”

 

と言う一節は舟木さんの本質を端的に表しているようで


ファンには本当に嬉しいお言葉でした。

 

 

遠藤実先生藤山一郎さんからのお祝いの言葉も寄せられていました。

 

 

 
 
 

遠藤先生の教え子に対する愛情溢れる内容は言うまでもなく

 

藤山一郎さんの「独唱会おめでとうございます」と言うお言葉と

 

その含蓄ある先輩としての愛ある助言には

 

クラッシックご出身の藤山さんならではの品を感じ

 

あの凛とした佇まいを思い出し厳粛な気持ちにさえなります。

 

 

 

長くなってしまいましたので(^^ゞ

 

項を改めます。