5番になると、信濃の国の偉人が挙げられ


メロディ、テンポともに元に戻ります。


【朝日将軍義仲も 仁科の五郎信盛も


春台太宰先生も 象山佐久間先生も


皆この国の人にして 文武の誉れたぐいなく


山と聳えて世に仰ぎ 川と流れて名は尽きず】



「旭化成という名は木曽義仲に由来しているらしいよ。」


という話を、ラジオから得た情報として、夫から聞いた時、


「ああ、朝日(旭)将軍だから?」


と、すぐにわかったのも、この詩を思い浮かべたからでした。


サランラップで有名な旭化成の社名は、


自ら「朝日(旭)将軍」と名乗った義仲の


「旭日昇天」の勢いにあやかってつけられたとのこと。


木曽の宮ノ越には、木曽義仲資料館があり


二女の中学の同級生がそこの出身であったので


一度、お邪魔したことがありました。



仁科五郎信盛は、武田信玄の五男で


高遠城主であり、名君であったことを


高遠のコヒガン桜を見に行った折り、知りました。


地元では、信盛を主役にした大河ドラマを切望しているようです。



佐久間象山は江戸時代の学者。


松代藩の出身で、怜悧な頭脳の持ち主であったとか。


明治維新前に、暗殺されてしまいますが、


勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰など、幕末の偉人達に、


多大な影響を与えたと言われています。


テレビドラマ「仁」や、昨年の大河ドラマ「八重の桜」など


幕末を扱うドラマには、必ずと言っていいほど登場します。


「象山」という名称の読み方は


「しょうざん」「ぞうざん」と分かれるところですが、


『信濃の国』では、「ぞうざん」説が採られ


”ぞうざんさくませんせいも・・・”と歌われています。


松代には彼を祀った「象山神社」もあります。



この4人の中で唯一その人物像をよく知らなかったのは


太宰春台ですが、調べてみると江戸時代の人で


飯田藩出身の儒学者であるとのこと。


「文武の誉れたぐいなく」と、


《4人とも皆この国の人で、文武に優れていることは


他に類をみず、高い山が聳えるように仰ぎ敬い、


川の流れが尽きないように後世にも伝えられていくだろう》


と、信濃の国の生んだ4人の偉人を讃えています。


何故この4人にしたのか、他にも有名な人はいるだろうに、


という議論もなされているようですが


武に秀でた木曽義仲、仁科信盛と、対句的に


文に優れた佐久間象山、太宰春台を取り上げたのは


特に文の優れた二人が、儒学者であったことに


漢文教師としての、浅井冽の思い入れが


あったのかもしれないな、などと想像したりするのです。