■定年を機に考えたい老後の住まい
定年は、セカンドライフの始まりだと言われています。仕事や子育てなどで多忙を極めた毎日から解放され、ようやく自分のための時間を持てるようになる人も多いでしょう。趣味の活動や旅行、海外移住など、現役時代にやりたくてもできなかったことを思う存分、楽しみのも夢ではありません。セカンドライフをどう謳歌しようと考え、待ち遠しい人もいるのではないでしょうか。一方、定年をきっかけに、住まいについて考え始める人もいます。それまでと比べて、はるかに長い時間を自宅で過ごすことになります。子どもがいた頃は狭く感じられた家も、ふと気がつけば広いマイホームに「夫婦2人きり」ということも少なくありません。長年住み慣れた家をリフォームしようと考えたり、郊外から街中への引っ越しを検討したりする人もいます。憧れを抱いていた田舎暮らしに挑戦する人もいるかもしれません。なかには階段の上り下りがきついと感じたり、ちょっとした段差につまずいたりと、体力の低下が気になり始める人もいます。そして、長年住み慣れた家が、必ずしも老後に住みやすい家ではないことに気づきます。
★広がる住み替えの選択肢
内閣府が高齢者を対象に身体が虚弱化したときの住まいについて調査した結果、「現在の住居に、特に改造などはせずそのまま住み続けたい」、「現在の住宅を改造し住みやすくする」と回答した人は合わせて6割超となっています。やはり住み慣れた家でずっと過ごしたいという想いは根強いようです。その一方で将来の介護に備えて、有料老人ホームなどケア付きの住宅に住み替えたいと思う人は37%に上り、その傾向は年々強まっています。近年、シニア期の住み替え先の選択肢は多様化しています。各人のライフスタイルに合わせて選ぶことが可能になっています。ただ、若い頃とは違い、シニア期は体力の低下が伴うだけに、それらに配慮した建物や設備を検討する必要があります。医療や介護への備えも不可欠となるでしょう。それらをどうやって選んだらよいのかを元気なうちに考え、住み替えるタイミングを逃さないようにしてもらいたいのです。
★住み替えで老後の安心を得る方法もある
もちろん老後も自宅に住み続けるという選択肢もあります。自宅を改修してバリアフリーにすれば、転倒のリスクは減らせるでしょう。要介護になれば、介護保険を使って訪問介護などのサービスを利用できます。自宅を訪問してくれる医師や看護師もいますから、医療が必要になっても自宅で療養できる機会は増えています。ただ、1人暮らしや夫婦だけの高齢世帯が増えている昨今、必ずしも自宅で暮らすことだけが最良の選択とはいえなくなっています。急に具合が悪くなったときに助けを呼べる人はいるのでしょうか。「私には子どもがいるから大丈夫」といっても、思い通りにならないこともあります。介護保険も基本は家族の支えを前提に設計されていますから、経済的にいくらでも負担できる人は別として、重度化すると独居世帯や老夫婦世帯では、自宅で暮らし続けるのはむずかしくなるのも現実です。老後をより安心して暮らすには、「住み替え」という選択肢があることを知っておくことも大切だといえるのです。
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