湊かなえさんの長編小説

装丁:片岡忠彦
口絵:高松和樹

作家活動15周年記念書下ろし作品

先日読んだ「ダイヤモンドの原石たちへ」で
紹介されていた
1年の休筆期間空けの新作「人間標本」です。

冒頭に
、作中の作品をイメージしたと思われる口絵(高松和樹氏)
 があります。

書名からして、
不穏さは隠せないのだけど

主人公:榊史郎の少年時代の静かな独白から入るのは
今までの作品とはちがうイメージの入り方。

色彩・色覚というものを

文章で表現して、その作品の力を
イメージできるというはすごい。

主人公の友人だった少女、
そして彼女の後継者候補として選ばれた少年たちのギフトが
描かれる中盤までのストーリーには引き込まれます。

終盤にかけての

湊かなえさんならではの、
幾重もの転換劇には、驚かされましたが

すっきりしたとは言えない余韻が残る。

すこし時間がたってから

最後の「解析結果」を読み返して
救いはあったのかと思い直しました。


<出版社URLの内容紹介>

人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな
蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。
蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。
あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。

五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。
今こそ最高傑作を完成させるべきだ。

果たしてそれは誰の標本か。
――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、
蝶として私の目に映ったのだった。
イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。

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<KadokawaオフィシャルサイトURL>
https://www.kadokawa.co.jp/product/322306000662/