今月の新刊本、山内マリコ著
「マリリン・トールド・ミー」

友達なし、恋人なし、お金もなし
コロナ禍で孤独を募らせる
一人暮らしの女子大生・瀬戸杏奈のもとに、
ある夜、マリリン・モンローから電話がかかってきて―

という青春ファンタジー作品。

大学でジェンダー問題を学ぶ彼女は
この出来事をきっかけにモンローをテーマに
卒論を書くことになる。

コロナ禍、#Me too、ジャニーズ問題など
現代ソースもうまく絡めた読み易い作品。

特に惹かれた部分は、彼女が昔のモンローの
文献を調べる中で、感じた感想部分

<以下引用>
マリリンの人生はあらゆる本で根掘り葉掘り書き尽くされているものの、情報は少しずつブレがあって、行間は著書の想像と偏見で埋められている。何気ない言葉に女性嫌悪が滲み、書いている本人も意識していないような歪んだ女性感と固定観念のバイアスが、揚げ物のころもみたいにびっちりまぶされていて、読む側はそれを丸呑みにすることになる。気を抜くとあっさり毒されてしまいそうだ。「へぇ〜マリリンって枕営業がんがんやってのし上がっていったんだ〜そういう女だったんだ〜」なんて具合に文章に深く埋め込まれたミソジニーは、読み手の意識をたやすく誘導しコントロールする。

<以上、引用>

これは、情報があふれる現代において
非常に重要な部分であり、
特にネットにおいてはフェイクも溢れ、裏取りもされない情報を鵜呑みにして、他人を叩き散らしたり

狭い了見で自分の正義を振りかざす人の
なんと多いことか

主人公は就活中の女子大学生ですが
若い人だけでなく柔軟性を失い始めたと
自覚のある年配の方にも
気づきの多いオススメ作品でした。
(まぁ届いて欲しい層ほど自覚が無いのだが)

マリリン在命時代の書物から現代までの
雑誌資料も細かく調べられており
時代背景やフェミニズムに対する考え方の
変化もよくわかりました。

ちょうど、朝ドラの「虎に翼」にも
重なる部分もあって、昭和も感じられて
楽しい作品でした。

私の文章が稚拙で分かりづらいのが
申し訳ないが、とにかく人はつくづく
イメージと云うものに振り回されているのだと
気付いた次第です


5月28日 本日発売