昭和52(1977)6月~9月まで、TBS系にて全15話が放映された連続TVドラマの傑作、原作・脚本は山田太一。

脚本家を目指す学生達から現在なお支持され、山田太一自身が脚本に関し最も多く質問される作品であるとか。

ドラマが放映された三年前の昭和49(1974)9月には、台風による増水のため、実際に19棟の家屋が崩壊また流失する災害がありました。

わが家の跡地を整理する際、ドラマの一家は家族の写真アルバムを見つけ出し、再起の足がかりをさらに見出すストーリーでした。家屋の倒壊また流失よりも以前に、主人公一家はとっくに家族崩壊していた次第でありました。

「岸辺のアルバム」のテーマも、それは「ありふれた奇跡」」(注・山田太一氏が次に手掛けるTV脚本タイトル)ではなかったのかと私は思うのですが、冒頭の主題歌に外国曲を用いたのも、当時では斬新でした。

ジャニス・イアン「ウィル・ユー・ダンス」、ダンスは相手が必要と為るので、誰か相手を求めるのか、一人して静かに踊り続ける、そんな時の踊り子となるのも、これまた生きる様なのと思います。

ドラマの一家は互いの絆を岸辺のアルバムから再認識し、明日の「ありふれた奇跡」をまた確かめんが為、共に歩み出すのがドラマの結びでした。

貴方は踊りますか?手を共に取り合いましょうか?人(が生きること)の基本形をダンスと表された山田太一氏の描き方は、誰かと手を取り合って見ればいつか分かるものかも知れないと思います。

ちょうど歳末は、ダンスを試すに良い時期です・・。