渋谷区は恵比寿駅から至近のマンションに普段は一人住まいのわたしですが、荻窪の実家へ戻れば、夕暮れどきは何だか感傷的な秋空を仰ぎ、また朝方はひんやりと張った空気に覚まされます。書物の類やDVDが床上から幾つもの山積みと為った恵比寿の自室と比すれば、荻窪のわが家は閑散としております。両親が二人で住まうのみですから、私一人が戻ったとて必要以上に明らかに広い間です。

日本は「二重国籍」を認めていない。アメリカ等は出生主義を国籍の概念と致し、その人間が誕生した国を国籍とみなす思想です。二重国籍を認知する国家は、現在は世界中でおよそ90ヶ国とか。他方では、日本のような血統主義の考えを一貫する国は、親の国籍が子どもの国籍なのとする理念。ですが、ようやく日本でも二重国籍を認知する考え方が具体的に起こり始めておりますらしいです。先般のノーベル賞受賞者にアメリカ国籍を習得された学者さんが一名あって、自らの意思で他の国籍を取得された場合、現状に於いては日本国籍を自動的に喪失するものらしいのです。

私の妹はイギリス(ロンドン)で生まれましたが、彼女は二十歳に為るまで二重国籍者でした。現在は日本国籍を自主的に選択した国民と扱われ、必然として日本人としての権利(例としては、選挙権)等が保障されます。その妹は嫁ぎ、現在はその夫の転勤先の福岡市に中学3年生の娘と三人家族で居ります。

荻窪では、母が新しいパソコンを購入し、早速に使用させてもらいました。ソリッド・レッド色の本体が眩い富士通製品です。

平成元年の秋、家庭用のデスク・トップ型パソコンを富士通が大々的なキャンペーンで売り出したのですが、池袋の展示会場まで私も見に参りました。その際のキャンペーン嬢は「南野陽子」、アキバの大型スクリーンを森高千里が俄然占有しておりましたし、いまから19年前の同じ秋を思わば、年々歳々と人はまさしく同じからずですね。森高は良妻賢母()、ナンノは綺麗な四十代です(変わらぬ独身)

「ワカラナイ、ワカラナイ(分からない)・・・」

妻夫木くんが家に置くことに為った観の美女ロボットは、煙を頭上から噴いてショートを繰り返す(東京ガスの、ミスト・シャワーCMから・・)

「人間って、ワカラナイ・・・」

最後は屋根上で星空を見上げる美女ロボット、しかし生身の私にも人間はワカラナイ、それは黒澤明が晩年に語った一語、

「私には、映画が分からない・・」

これを何か思い出したのですが、天上の黒澤明氏、映画ってワカラナイと、また言われて居られますのかなぁ・・・。