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ご注意

遺伝子疾患、死別、命の選択に関する
具体的な内容や葛藤が含まれます
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たくさん、たくさん葛藤し、悩みました。そんな私の思いをここにのこしたいと思います。


もしも、同じような選択に悩み、検索を繰り返している方がいらっしゃったら、届いてほしいと願っています。












​「生まれつき病気のない赤ちゃんが欲しい」という思い


​第2子と死別しても、「また子どもが欲しい」という思いは変わりませんでした。また自分の子どもに会いたいし、抱きたい。欲を言えば、次の子は健康に育てたい、私より長く生きてほしい。
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──生まれつき病気のない赤ちゃんが欲しい。

 ​言葉にすると、生まれつき障害や病気のある人を否定しているような気がして、後ろめたさを感じます。けれど、言葉にしないだけで、誰もが願うことだと思います。


「生まれた時に病気がなければそれで良いのか?」と言われれば、病気はないに越したことはないと思います。これは優生思想ではなく、親としての単純で素直な願いです​。
NICUで第2子の闘病を見守り、元気に育つ第1子を見ながら、ただそう思いました。人工呼吸器や多くの医療機器に繋がれた我が子を見るのは、本当につらいことでした。その一方で、医療に支えられ、一所懸命に自身の人生を生きている人たちがいることも知っています。私は皮肉にも、医療従事者でした。

​ただ、1人の母親として思うことは、「自分の子には苦労をしてほしくない」ということです。だからこそ、生まれつき病気のない状態で産んであげたいという強い気持ちがありました。


でも、ふと立ち止まって考えた時に。

「苦労」ってなんだろう。
第2子が人工呼吸器に繋がれ、管から母乳やミルクを摂取して生きていたことは、すべて「苦労」だったのだろうか。
「幸せ」ってなんだろう。
病気を持って生まれ、たくさん痛い思いをしたけれど、温かく抱かれ、沢山遊んで、家族の時間を過ごせて、第2子は幸せだったのかもしれない。

私の知っている「幸せ」は、ただ「生まれつき病気がないこと」に固執していただけなのではないか⋯。
それでも、やっぱり、なるべくなら、生まれつき病気のない赤ちゃんが欲しい。それが当時の私の正直な本音でした。








​遺伝子変異の保因者として向き合う恐怖


​──私たちの遺伝子変異を発症させず、かつ、私たちの子どもが欲しい。
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振り返ると、当時は自分が遺伝子変異の保因者であることを、まだ完全に受け入れられていなかったのかもしれません。

 ​同じことが起こる可能性がある中で、世間一般的には「次の子は諦める」のが正解なのか。

文献を読み漁ると、きょうだい続けて同じ病気で亡くなっている報告もありました。遺伝子疾患の保因者だと分かった今、これから私たち夫婦で子どもを授かることは、まるで子どもを殺すようなものである気がして⋯。

とにかく、怖かったのです。次の妊娠期間は幸せよりも、不安や心配を遥かに多く感じるのだろうと容易に想像できました。それでも、また、「子どもが欲しい」そう思えました。









​検討した「4つの選択肢」
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検討した選択肢(自然妊娠、着床前診断、諦める、その他の選択肢など)に対して感じた、メリット・デメリット・葛藤について整理します。

※あくまで私たち夫婦のケースにおける個人的な受け止め方・選択です。

① 自然妊娠

25%の確率で発症(死亡)する│75%の確率で発症しない(うち50%は親と同じ保因者、25%は遺伝なし)
  • メリット:費用がかからない、早く授かれる可能性がある​
  • デメリット:子どもが再び同じ病気になるリスクがある
「喪失感の中で、一刻も早く次の子どもを授かりたい」という気持ちが強くありました。また、「発症しない」確率(75%)の方が高いこと、そして自分たちの力を信じたかったという思いもありました。
​もしも75%をすり抜けて遺伝病を発症しなかったとしても、他の病気を持って生まれてくる可能性は誰にでもあります。自然妊娠であれば、どんな結果になっても「これがこの子の運命である」と受け入れられると思いました。


② 体外受精+出生前診断(着床前診断)

遺伝子異常を引き継いでいない受精卵を戻すため、発症の可能性は極めて低くなる​│人為的作業のため、遺伝していない保証は100%ではない
  • メリット:発症の可能性を大幅に引き下げられる​
  • デメリット:高額な費用と時間がかかる
正直、体外受精や着床前診断という「命の選別」や「神の領域」に足を踏み入れることに強い抵抗がありました。「生まれつきの病気がなければそれで良いのか?」という自分自身への問いにも繋がります。
​ここまでやって、結局別の病気を持つ子どもが生まれたらどうしようという恐怖もありました。医療の手が入ることで、「安心感」に過度に依存してしまう怖さも感じていました。


③ 非配偶者間体外受精(精子・卵子提供)

別の第三者の精子または卵子を使うため、同じ遺伝子疾患の発症は避けられる│​25%の確率で保因者となる​
  • メリット:夫婦の遺伝病の発症を完全に避けられる
  •  ​デメリット:費用と時間がかかる、子どもへのルーツ(告知)の問題がある
半分血が繋がっていない子どもを、そこまでして生み出したいのか。痛い思いをして産みたいのか。自分たち夫婦の子として、心から愛して育てる自信があるのか⋯。どうしても自信が持てませんでした。だから、この選択肢はやめました。


 ④ 次子は諦める

  • メリット:遺伝子変異を後世に残さなくて良いこと、出産に関する辛い体験をしなくていいこと​
  • デメリット:もう自分の子どもを抱くことができない
第2子を亡くしたことで、「もしも第1子まで亡くなってしまったら」という強い予期不安を抱えるようになっていました。「第1子だけを頼りにしてはいけない」と、要するに、リスク分散をしようとしていたのだと思います。
第2子が亡くなった時、私は第1子の存在に助けられ、「この子のために生きないと」と思えました。だからこそ、万が一この子までいなくなってしまったら⋯と考えてしまい、「もう1人子どもがいた方がいい」と思ったのです。命の代わりなんて誰一人いないのに、自分を守るために2人いた方が安心だと考えてしまう、身勝手で訳のわからない理由だと思います。
また、私たちが亡くなった後、きょうだいがいた方が良いのではないかという思いもありました。夫婦ともにきょうだいがいる環境で育ったことも影響しています。
これらの思いから、「夫婦ふたりと子どもひとりで生きていく」という覚悟を決めることができませんでした。










葛藤の末に選んだ「自分たちの答え」


​さまざまな思いを巡らせた結果、私たちは夫婦の喪失感と気持ちを一番に優先し、自然妊娠を選びました。


「諦めるのが正解か」「着床前診断を行うのが普通なのか」と、何度も自問自答しました。けれど、「世間の正解」ではなく、私たち夫婦の答えは「自然に任せてみる。そして、どんな結果であっても受け入れる」ということでした。
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この選択をすることは、私たちが【遺伝子変異の保因者であるという事実】を本当の意味で受け入れることにも繋がったと感じています。


​どの選択を選んだとしても、間違いなんてありません。大切なのは、決断に至るまでに夫婦で深く考えて、葛藤したプロセスそのものなのだと思います。

​周りが何と言おうと、納得いくまで考え抜いた先に、それぞれの夫婦の答えに辿り着けることを願っています。