さて、只の一行も書き溜めたものはないので昨日のライブについて書こうと思う。
下北沢という、バンドマンの聖地の様な場所にあるベースメントバーというライブハウスで演奏してきた。

※下北沢とは

休日は勿論のこと、平日の昼間でも、夜中でも、いつだって大勢の年齢職業不詳で個性的な格好をした人々で賑わう街。
住みたい街ランキングでは常に上位との事だが、ハイグレードな人生を送りたいなら決して住んではいけない、熱狂的で堕落しきった人間の住む街である。

「この街には住めない。」

と、少し歳上の、飛び切りの笑顔と太い眉が特徴的なアジアンビューティーが言っていた事がとても印象に残っている。
この日初めて会った彼女は、この街に渦巻く欲望と怨念を感じ取っていたのかも知れない。
スピリチュアルな見た目してたので恐らく、霊感の持ち主だったのではないかと思っている。


そう、あれは今から10年近く前。
まだ10歳だった私が初めてライブをしたのがこの下北沢ベースメントバー。そこで出会ったのがそのアジアンビューティーで、彼女は胸元にビッシリと様々な種類の寿司のタトゥーを入れていた。

「ハイヨッ」「ヘイ、オマチッ」等、白目を剥きながら支離滅裂な事を言い個性的な脇臭を漂わす満面の笑みの彼女を見た私はその狂気を確信、こちらも狂わなければタダじゃ済まない!と思った私は慌てて彼女の乳を握り締めそれをハンドルに見立て急カーブを曲がる要領で2人転がりながらトイレに
と、ここまで書いた所で急に未来より声が聞こえた。

「ユナイト融合、ケジメなさい!」

ハイヨッ!


どうやら長ったらしくなりそうだと未来からケジメなさいアラームが鳴るシステムになっているようなので昔の話は辞め、話を早足で続ける。ちなみに10歳サバを読んだ。

昨日最初の演奏バンドは我々蓮根ロッカーズ。
肩の力の抜けた演奏が出来たからだろうか、
我々が演奏を終える頃には演者も客も大半が裸に近い格好になって茹だっていた。
舞台袖を見れば素っ裸で果てている人もちらほら。

私といえばドラムセットで隠れていたから良いものの、完全にエレクチオンしていた。

興奮した観客が思い思いに腰を振り、遠心力でイチモツを内股に打ち付ける事で鳴る
「ビタンッビタンッ」
という拍手に見立てた音をバックにステージを降りた私は楽屋で一人、10年前の彼女に想いを寄せた。

そして般若心経を唱え、ぎゃーてーぎゃーてー言ってる所で彼女の成仏を確信。

アジアンビューティーの解放が済んだところで、私もようやくテンガロンハットとブーツ、肩なしのレザーライダース、そして股間に乗せた小さなテンガロンハットを外し落ち着いた訳である。

ちなみにこの日は2500円で飲み放題と破格のイベントだったのでみんな容赦無く飲んで饒舌になっていたのだろう。
来てくれた知人、友人も僕らの演奏のことや自分の近況の事、色々話してくれた。
しかし飲み過ぎで全員すべからく口の隅で蟹のようにぶくぶくと泡を貯めていたのがどうにも気になりじっと見てたら気付いたらみんな帰ってた。
僕もラーメン食ってタクシー拾って帰ったら8000円かかった。
終電には気を付けなければ。


「ユナイト融合、これからもケジメないとダメよ!」

ハイヨッ!