Nostalgia -About The Story-
これは私の…刻空 宰の記憶話。
私は次元を超えて、様々な世界を旅する。そして世界に住み着く悪魔を倒す救世主だ。世界の滅亡を食い止めるために私は戦い続ける。
出会いと別れ、戦い、救うを繰り返す日々…その中で、時々聞こえてくる謎の声…私に警告をしてくれたり助けてくれる。一体何者なんだろう…戦いに疲れ、私の小さな相棒のモルモとじゃれあう時、いつも故郷を思い出す。私の本来いるべき世界…皆はきっと私の存在を忘れているだろう。それが世界の掟なのだから…でも私は忘れない。あの子のことも、最後に交わしたあの言葉も。
そんなある日、夢の中で一人の少年と出会う。不思議な雰囲気の美少年。それはあの声…私を救った声の主だった。笑顔が美しいその少年は自分のことを話し始め、私と同じ存在だと知る。彼はアテムと名乗った。
いつものように空飛ぶ円盤でパトロール。そろそろ休憩しようとふと例の「違和感」を思い出す。そう…私には昔の記憶がない…幼い頃の記憶が抜けている。一体どういう事なんだろう…私はいつ、何故こんな存在になったのだろう。
疲れて眠ってしまう私。そして不思議な夢を見る。時々見る悪夢…これは失われた記憶だろうか…
気がつくとアテムがいた。たわいもない話に花を咲かせる。相変わらず不思議な奴。でももっと知りたいと思った。これからもずっと…こんな風にずっと一緒にいたかった。話したかった。なのに………
ある日、私は悪魔の力が強くなっている事に気がついた。数も増えている。最近アテムの姿も見えない。世界を荒らしている奴がいるとアテムが言っていた。相当ヤバい奴らしい。私は慎重に任務を進めていた。その時、突然世界の滅亡が始まる…本当に突然だった。枯れ果てていく世界の中で今まで感じた事のない魔力を察した。そして気がつくと目の前には知らない男が立っていた。黒いコート姿の男。その背中には立派な漆黒の羽が生えていた…
リュークと名乗るその悪魔は、アテムが言っていた以上に強く冷酷だった。私は不覚にも能力を奪われてしまう。絶体絶命の状況…しかもリュークが言った言葉…私の仲間がブラックホールに…そして世界が「第二の魔界」になるという…そして「7年前」…一体どういう事……絶望する私に止めを誘うとリュークが攻撃した時だった。
瞬い光が私を包み込む。間一髪のところでアテムが助けに来てくれたのだ。しかしいつものアテムの姿ではなく…そこにいたのは純白の羽が生えた、天使姿のアテムが立っていた…アテムの正体が天使だと知り驚く私。能力を奪われ動けない私を庇い、逃がすアテム。嫌がる私を光の壁で守り、1人でリュークに立ち向かっていった。
光と闇が激しくぶつかり合う。見てられない程残酷な戦いだった。傷つき立つのがやっとのアテム…しかし怯むことなくリュークに攻撃し続ける。
そしてついにリュークの攻撃がアテムへと振り下ろされる。「アテム…!!」「君は逃げるんだ…そしてお願い…」アテムは最後の言葉と願いを私に伝えると…自分のロッドを託して消えてしまった。リュークは満足したように笑い声と共に去っていく。アテムの想いを聞いた私はロッドを胸に世界へ飛び出した。世界の為に、そして大切な仲間の為に。絶対に救ってみせる。私は救世主なのだから…
→Scramble五章へ続く…