-3- 絶険の海中バトル
海に付くと蛇の姿は消えていた。
きっと海の中に潜ったのだろう。
いつまた出てくるかわからない。
ここは慎重に近づくのが一番だ。
走るのをやめ、立ち止まる。
今のところまだ海は穏やか。
静かに波の音が響いている。
「では作戦を言います」
輝が手帳を片手に指示をする。
「まず海中ペアはレナさんとコウさんでよろしいでしょうか?」
「ええと・・・つまり海の中で倒すと?」
「どうやって倒すんだ…?」
ここにはもちろん酸素ボンベも水着もない。
あったとしてもどうやって倒すのだろう。
するとアリスが手を挙げた。
『私がレナ達に環境適応魔法をかける…水の中でも地上と同じように戦えるわ……」
「へぇすげー!!」
『ただ問題なのはこの魔法は難易度が高くてかなりの魔術が必要なの…術を唱え続けないと効果がすぐに切れてしまう……悪いけど今回は戦えないわ……』
「大丈夫!蛇の方は任せろ!」
『蛇に邪魔されると厄介なことになる…少し離れた場所でするけど一応吉良達に私の護衛を任せて良いかしら……?』
吉良はアリスの言葉に頷く。
パルも同じように「了解…」と頷いた。
輝は今度は龍樹達の方を見た。
達樹はすでに眼を青白く光らせている。
その背後では夢羽が縮こまっていた。
「龍樹さんは夢羽ちゃんと一緒に浜辺で倒してください」
「分かった…」
そしてアリスはどこからか紙を取り出す。
前の世界で使ったあの不思議な紙だ。
輝が一人一人に配る。
「全員に繋がるようになってますので、何かあればこの紙に話しかけて下さい。自分は浜辺で予知をします」
「私は皆さんの援助をします~」
「俺はどうすんだ?」
「ミオンちゃんは海上、優斗君は浜辺で、自分が予知で指示しますから…」
その時、海に大きな水飛沫が上がった。