蛇が消え去った後、一気に静まり返った。
浜辺で少女を抱えた吉良が「……遅い……」と不機嫌な声を出す。
そんな吉良の隣ではパルが灰色猫とじゃれあっている。
「その子大丈夫かな…」
菜奈達は心配そうに少女を見ると、吉良は少し頷く。
「……気絶してるだけ……」
「う……にゃ………」
少女が一瞬ピクリと動く。
そして目を開ける。
状況が分かっていない様子で目を瞬く。
「…にゃ…?あれ…私……お姉さん達…誰…?」
「大丈夫?気分悪くない?」
『貴方ここで倒れていたのよ…』
警戒している少女に菜奈は優しく声をかける。
少女は安心したのかゆっくり体を起こす。
「大丈夫ですにゃ…あ…ありがとうございました……」
「無事でよかった~私は菜奈。貴方は?」
「レーニャって言いますにゃ」
そう言ってぴょこんとお辞儀する。
まるで猫を擬人化したような少女だ。
菜奈達もそれぞれ自己紹介する。
レーニャは何かを探すように辺りを見回した。
「私の猫知りませんかにゃ?」
「あ、あの子?」
菜奈は猫がいる方を見る。
すっかりなつかれてしまったらしく、灰色猫はパルの横にひっついていた。
パルは困った顔をして不満げに呟く。
「俺…猫じゃないし……」
「にゃーっ大きい猫!!喋った!?」
レーニャは猫の元に駆け寄った。
目を輝かせ、パルを興味津々で眺める。
「だから違う……」
「同じようなもんじゃねーか」
「レーニャちゃんはどうしてこんなところにいたのですか~?」
ミオンがレーニャに尋ねる。
するとレーニャは急にしょんぼり肩を落とす。
さっきの元気良さが一転した。