最初のページにはこの学園の写真が貼られてあった。




下の方に小さく綺麗な字で「アビリティ学園資料」と書かれている。




「誰が書いたんだろうね・・・」




「とりあえず読んでみよう・・・」




水乃はソファーから立ち上がると近くの机に移動する。




獣音は水乃の横に座ると次のページを開く。




そこには学園の特性や掟が事細かく書かれていた。




全て手書きのようだが、とてもきれ細かい綺麗な字だった。




古いせいか、ところどころ掠れてあったり消えていたりしていて見えにくい。




とくに不思議なところはなく、普通の学園案内のようだ。




「すごい・・・へぇーこの学園7年前に作られたんだ!知らなかった・・・」




「7年前?案外新しいんだ・・・私も初めて知った・・・」




次の数ページは学園のことについての内容だった。




この学園はいわば能力者のたまり場だ。




悪魔倒しなどの目的があって来ている人もいれば、ただ遊びに来る人もいる。




たまに顔を出すだけでほとんど来ない人もいる。




能力者ではなくても掟さえ守ればひたすら自由。




ちなみに学園と言っても先生のような存在はいない。




近い存在はいるが、普通の生徒と変わらない。




「私達ってこの学園のこと知ってるようで知らないんだよね~」




「ある意味この学園って謎だよね・・・」




また次のページをめくると、今度は学園の案内図が載っていた。




学園内は普通の学校と全く変わらない。




保健室はもちろん図書室や音楽室などがあり、そこらの私立高校のような作りだ。




ただかなり広く、迷う人は必ずいる。




特訓などのために使われる校庭や裏庭なども普通の倍以上ある。




広い分大勢人が集まるわけで、校内外は常に騒がしい。




でも今日はとても静かでしんとしている。




外は暴風雨だったし、休日だからだろう。




学園から離れた場所にある寮にいるか、自分の家で過ごしているのかもしれない。




それとも菜奈達と同じように・・・




改めて恐怖が襲い、心配になってくる。




そして最後のページを開いた。




今までのページとは違い、何も書かれていなかった。




しかし下の方を見ると、小さな字で何かが書かれてある。




このノートを書いた人のメッセージらしい。




『この世界がまた闇に閉ざされないよう・・・光の絆でこの世界を照らせるように。 H.E.V.