「だから龍樹さんの能力を使うんですよ」


「俺の…?」


「どーゆうことぉ???」


「銃の銃口初速は銃の種類によって異なりますが、拳銃だと約300~380、ライフルだと約800~1000m/sだそうです」


「ふぇ?」


「何を言って…あ!そういうことか!!」


何がなんだか分からない夢羽と反対に龍樹は目を輝かせた。


「できますか?」


「あぁ…ちょっとキツそうだが……」


「ねぇどーゆうことぉ!?」


「見てれば分かる…夢羽、その銃でシューティングしろ」


「え?でも…」


「大丈夫だ…撃つだけだから」


夢羽はうろたえつつ銃を魔の手に向ける。


不安な顔で震えながら狙いを定める。


その両脇に龍樹と輝が立つ。


「じゃあ夢羽ちゃんよろしくお願いします!」


「うん!いっくよぉーっ」


「龍樹さん準備は良いですか?」


「おう!!」


夢羽が引き金に手をかけた。


「確か300m/sだよな?」


「拳銃だとそれくらいですね」


「了解…」


そして夢羽が引き金を引く。


ズガーンッ


…という効果音がした後、ポンッと鉛玉が発射された。


それと同時に龍樹の眼が青白く光る。


「……行け!」


その瞬間、シュンという音と共に鉛玉が消えた。


いや、消えたように見えるくらい速度が速くなった。


速度300m/sの銃弾と化した玩具の鉛玉は、吸い込まれるように魔の手へと撃ち込まれた。